
つまんねぇ理想なんかじゃなくて
オレのことちゃんと見てろ…!
■高校3年生の琴乃は、年上との恋にあこがれる普通の女子高生。だが、ある日子供同士の喧嘩を仲裁したことで、12歳の直に一目惚れされ、「付き合ってくれ!」と日々迫られることに……。直が時々見せる男っぽい言動にドキっとしてしまうこともあるけれど、5歳年下の直を付き合う対象として見ることができない琴乃。そんな中、理想にぴったりの年上男性が現れて……。
「緋色王子」(→レビュー)を描かれている村崎翠先生の新連載でございます。高校3年生のヒロインが、中学生になったばかりの生意気な12歳に「付き合ってくれ」と猛アピールされるラブコメでございます。
ヒロインの琴乃は、受験真っ盛りな高校3年生。恋人はおらず、”優しくて頼りがいのある年上の男性”との恋愛に憧れて日々を過ごしています。そんな彼女の想いとは裏腹に、彼女にアプローチをしてくるのは中学生の直。喧嘩の仲裁で、大人らしく説教aをしたところ、惚れられてしまい、以降猛アピールを受けています。有名私立に必死で勉強して入学し、琴乃に言われて始めた空手でも好成績を収めるなど、その歳ではかなりの有望株のような気もします。けれども未だ身長は150cmに満たず琴乃を見上げている状態で、琴乃の言う「優しくて頼りがいのある人」には程遠い状態。というわけで、直はなかなか琴乃の心をつかむことができません。

自分が子供で相手にされないということは、当人も重々自覚はしているのですが、だからと言って指をくわえて見ているという状態は許せないという、なかなかのガッツの持ち主。あの手この手で自分の魅力をアピールするのですが、なんだかとっても的外れだったり、空回りしすぎて琴乃の逆鱗に触れたりと、道のりはなかなか厳しそうです。
年下相手のラブコメというと、最近は「初恋モンスター」が非常に話題になってしましたが、あちらが出落ち&ネタ100%なコメディだとしたら、こっちは70%ぐらいのところで留まっているかな、という感じでしょうか。年下が恋愛というファクターにおいて、年下らしく振舞っているという所で好印象です、はい。あと恋の矢印の向き具合もだいぶ違いますね。もちろん琴乃も時折、直に対してドキっとする場面もあるのですが、同じくらい琴乃を不機嫌にもさせているので、1巻終わった所を見てもプラマイゼロ…もしくはマイナスくらいかな。さてここからどう挽回するのか。
見ていると、直ってものすごく良い子なんですよね。分を弁えないのは自覚的にやっていることであって、その他は琴乃に好かれたいがゆえの必死の行動。好きな人に言われたからって、空手を始めたり勉強に打ち込んだりとか、その素直さはすごいなぁと。
とはいえ琴乃はなかなかそれに気づけないんですよね(気づけたら物語が終わっちゃうんですが)。偶然出会った男の人がタイプだったら、相手のことを良く知りもしないのに、一目惚れ的に一気にのめりこみがちですし。直のことを子供だ子供だとあしらっているワケですが、その実行動は直とそう変わらないぞ…と。この自分の省みなさであるとか浅はかさはいかにもこの年代ならではという所で、この物語は実は直の成長よりも、琴乃自身の成長が大きなカギを握ってくるのかもしれませんね。

本人は背伸びして頑張っているのですが、どうしてもこんな感じに。
さて、全然関係ないのですが、直が中学生に成り立てだからなのか、1巻のラストがものすごく進研ゼミの勧誘マンガっぽかったという。わかる人にはわかるはず。
【男性へのガイド】
→いわゆるショタ的要素があるご都合ラブコメなので、そういうのが苦手でなければ。男性が苦手とする要素はそこそこあるような気もします。
【感想まとめ】
→現時点で12歳ですが、どう落としていくのか気になる所。この頑張りが報われてほしいものですが。。。
作品DATA
■著者:村崎翠
■出版社:KADOKAWA
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:シルフ
■既刊1巻
■価格:580円+税
■試し読み:第1話