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Tag [新作レビュー] 2014.12.15
1106463696.jpg池ジュン子「水玉ハニーボーイ」(1)

新しい扉
開けるわよ



■強さを求めてひた走り、「侍」の異名を持つ剣道部副主将・仙石芽衣。女子力高く仕草や口調は女の子、女装も辞さないオネエ男子・藤司郎。真逆な2人だけど、オネエ男子が侍女子にまさかの恋!告白攻撃を侍女子が叩き斬る!?ツッコミ不在のハイテンションラブコメ!

 「BEAR BEAR」(→レビュー)の池ジュン子先生の新作です。前作は小っちゃい女の子と被り物をしている男子という特殊なカップルでしたが、今回も負けず劣らず凸凹な組み合わせとなっております。ヒロインは、周りから「侍」と呼ばれる剣道一筋の仙石さん。恋愛とは縁遠い所にいる、女子からの支持高い麗しの女子高生。一方そんな彼女の恋人に立候補したのが、手芸に料理になんでもござれ、コミュ力も高いオネエ男子の藤司郎。「恋をしている暇はない」と断りを入れていた仙石さんでしたが、意外と打たれ強い藤くんは、その後もあの手この手でアプローチ。だんだんとほだされてきた仙石さんでしたが。。。というお話。

 この設定勝ちなお話。池ジュン子先生の連載で普通の男子は望めないのでしょうか(ほめ言葉)。オネエ男子ってのは女性向け漫画でも割と登場するキャラなんですが、真正面から相手役に据えるのはそこまで多くない印象があります。なぜなら毎回描かれると胸焼けがするから…と私は思っているのですが。本作についても、なかなかくせのあるキャラで結構味付け濃いめだと思うのですが、それでも割と自然に楽しめてしまうのは、ヒロインもまた癖のある濃いキャラだからでしょうか。


水玉ハニーボーイ
 侍×オネエということで、素直にその設定を受け取れば、仙石さんに守られる藤君というパターンが定石。しかしながら本作は、強くあろうとする仙石さんがふと見せる弱さに対して、藤君が男らしく守って見せるという割と全うな展開となっています。そう、オネエ方面で魅力を見せるかと思いきや、藤君はすごく男らしいんですよ。そのギャップが魅力的なんです。包容力と、瞬発的に見せる男らしさが素敵。


 白泉社は比較的展開が早く、すぐに付き合ってしまったりもするのですが、本作では仙石さんのガードがなかなか固く、付き合うには至りません。少しづつ意識はしてくれているのですが、色々と抵抗はあるようですね。とはいえ二人の距離感・役割はほぼ固まっている感もあるので、それほど時間はかからないのかも。赤面の仕方といい、彷彿とさせるのは「会長はメイド様」の会長なんですけれども、相手役が全然違うという、この新鮮さをお楽しみください。

 
【男性へのガイド】
→イケメンですが、オネエという相手役。いわゆるキャラもの作品ですが、そういった作品がお好きな方であれば楽しめるのではないでしょうか。
【感想まとめ】
→藤君はなかなか好印象なキャラクターで、見ていて非常に楽しかったです。これからこういう相手役が定番になったりするんですかね。


作品DATA
■著者:池ジュン子
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa
■既刊1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

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