
私
にいちゃんの分も
生きる…
■3巻発売しました。
賀茂口真砂は顔・運動・成績全てがフツーの女子高生。そんな彼女は「普通」と言われるのが少しコンプレックス。それは、いつも近くにスペシャルな人がいたから。その人の名前は、賀茂口司朗。真砂の兄で、総てに秀でた彼は、同じ高校のカリスマ生徒会長として活躍していた。生徒会は現在文化祭に向けて精力的に活動しており、司朗はその中心人物として人一倍張り切っていた。そんなある日、車に轢かれそうになった真砂をかばって、司朗は事故死してしまう。自分が死ねば良かった…そう自分を責める真砂の身に、ある日突然異変が起きる…。
全てに秀でた兄を亡くし、失意にくれていた妹・真砂。自分が死ねば良かった。そう自分を責める真砂の身が、突然異変に襲われる。なんと、兄・司朗の魂が、真砂の体に入り込み、意識を支配するようになったのだ。要は一つの体に二つの魂(人格)が入り込んでいる状態で、表出する人格は、その時の意思が強かった方。出し入れはある程度自由に行える。この秘密を知っているのは、司朗の親友で、真砂の憧れの先輩・黒馬八坂だけ。とりあえず真剣に取り組んでいた、文化祭を成功させれば成仏できるんじゃない?ということで、兄の代わりに生徒会役員として文化祭開催に関わることになった真砂でしたが、なかなか順調にことは運びません。

黒馬先輩に信じてもらうため、必死になる真砂。
白泉社の話は大まかにわけて2種類あって、1つがコメディや青春群像など、少々色モノの設定と登場人物を中心に明るく展開させるお話。そしてもう1つが、独自の世界観に幻想的な描写・モノローグを用い、まさに"物語"的な展開を見せるお話。この「with!!」という作品は、どちらかと言うと前者。感動描写は当然ありますが、基本は明るくコメディタッチで話を展開させます。いかにも前者のど真ん中を行くような作品になっているのですが、斎藤けんはどちらかというと後者のタイプの作品を描かせた方が生きるんじゃないかなぁ、と。
以前同じ作者さんの「亡鬼桜奇譚」(→レビュー)をご紹介したのですが、あれはどちらかと言うと後者を進むタイプで、その出来は素晴らしいものでした。良く言えばどちらでも描けるわけですが、with!!の方は今ひとつインパクトに欠ける印象が。いや、実際よく描けてるんですけどね。ただこんなもんじゃないだろう、あなたのポテンシャルは、と。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→少女マンガ的な作品です。嫌う要素はないとは思いますが、かといって男性を引きつける要素もないかなぁ。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→明るい内容で、良く出来た作品だと思うのですが、決め手に欠ける印象。斎藤けんさんを知ってもらうのであれば、他の作品を薦めたいです。
作品DATA
■著者:斎藤けん
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(平成18年2月号~連載中)
■既刊3巻