
私はこうして天磨くんの隣にいれて
幸せだよ
■小森雛は素直で天然な田舎町の中学生。そこに都会から転校してきた、お金持ち&天才の天磨一樹。…と、食いしん坊で女の子が大好きな愛犬・秋伸。超特別扱いで天磨「様」と呼ばれる彼に、興味を持たれた小森は……!?ちぐはぐな2人と1匹、ふんわり青春ラブコメ!
晴海ひつじ先生のデビュー単行本になるんですかね?1巻完結で、LaLaDXにて連載されていた作品になります。内容は少女漫画では王道とも言える、超絶お金持ちのお坊ちゃまと庶民のヒロインとの格差ラブです。物語の舞台となるのは、長閑な田舎町。なぜかこの土地に転校してきた、日本はおろか世界でも有数の大企業・天磨グループの御曹司・天磨一樹。勉強は天才的で運動も万能、バックグランドは先述の通りと、すべてが完璧な彼は周りから天磨「様」と呼ばれ、畏れられていたのでした。ひょんなことから、そんな彼にタメ口で失礼な発言をしてしまったのが、同じクラスの小森雛。「とんでもないことをしてしまった…。気まずい…。」そんなことを思っていたら、なぜか天磨様は彼女のことが気に入った様子で、以来彼女のことをやたらと気にかけるようになったのですが…というお話。

秋伸がなかなか癒される造形。
天磨は幼いころから畏れられ特別扱いを受けてきたことから、彼らとの壁を感じ傷つき、かなり身勝手で頑なな態度を取るようになっていました。そんな彼の唯一の癒しは、愛犬である秋伸。犬は人間と違い、バックグラウンドで人を判断しないので、唯一信頼が置ける存在なようです。そんな中、自分に対して失礼な振る舞いをする(してしまった)ヒロイン・小森雛に対して、「こいつは同じ目線で話してくれる」と感じた彼は、一気に彼女に絶大な信頼を置くようになるという流れ。長期連載などでは、一応反発があったりするのですが、本作はそこまでゆったりしていられないので、すぐに信頼を置くようになるという、比較的都合のよい展開となっています。
その後は雛が天磨を、他のみんなと馴染ませようとしたり、雛のピンチに天磨がその力を駆使して助けたりと、ドタバタを経て仲を深めていく形となります。とにかく天磨のお金持ち力が半端なく、どこか現実感がないストーリーとなっているのですが、そもそもの設定からもわかる通り、あくまでファンタジーとして読むお話ですから、はい。また内容的にはあまりひねりはなくシンプルな物語展開となっており、比較的低年齢層をターゲットとしたお話かと思います。マーガレットとかに割とありそうな感じの。
絵柄はデビュー単行本ということからなのか、1話目と最終話ではかなりの変化が見て取れます。1話目のヒロインは「ちょっと太い?」という印象があったのですが、最終話ではすっきりした佇まい。キャラの成長という線もあるのですが、多分これは作者さんがこなれてきたからかと思われ、そういった部分も楽しんで読める作品となっています。
【男性へのガイド】
→いわゆるファンタジックな設定の王道少女漫画ということで、男性にはハードル高めの領域に属する作品かと思います。【感想まとめ】
→設定から描くべき物語はしっかりと詰め込んだシンプルな作品でした。秋伸が癒しキャラとして良いアクセントになっていました。こと面白いところがあるかというと、そこまで目新しさはなかったのですが。
作品DATA
■著者:晴海ひつじ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLaDX
■全1巻
■価格:429円+税
■試し読み:第1話