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Tag [新作レビュー] 2015.02.21
1106468117.jpgいくえみ綾「私・空・あなた・私」(1)



私のこれからの人生は
明るい




■14歳の鈴木れもんは、ある日「安達家」に引き取られる。「安達家」とは、父親の本妻・胡桃と異母姉妹の林檎、杏が暮らす家。実は、れもんは父親の浮気で出来た子供なのだ。新しい「家族」の中で、れもんの暮らしは始まる。そんな中、庭の剪定にやってきた植木職人・イズミ。女4人暮らしの「安達家」に何かと関わってくるこの男だが……。

 いくえみ綾先生のスピカの新連載です。「あなたのことはそれほど」や「G線上のあなたと私」、「太陽が見ている(かもしれないから)」とすごい連載抱えてるなぁと思ってちょっと調べてみたら、連載中作品が本作含めて6本って出てきて驚きました。様々な媒体で連載されているいくえみ作品ですが、傾向的に一番好みなのはスピカかもしれません。

 物語の主人公は14歳の女の子。いくえみ作品に登場する女子ですから、当然(?)問題を抱えています。彼女の場合は家庭事情がフクザツというもの。父親の浮気相手との子であるヒロイン・れもんは、祖父祖母に育てられていたものの、祖父は他界し、祖母はボケてしまい一緒に暮らすことができなくなってしまいました。そんな彼女に声をかけたのが、父親の本妻である安達胡桃。胡桃と、その二人の娘との4人暮らしが始まります。持ち前の要領の良さですぐに安達家になじむれもんでしたが、表向きの平穏は、とある男の出現によって少しずつ荒れ模様へと変わっていき…というお話。


私空あなた私0001
フクザツな家庭事情でありながら、それを表向きすんなり受け入れ飄々と。けれどもその実、心の底では黒いものが溜まっていく……というのは、いくえみ綾作品では比較的よく見られる光景と言えるでしょう。ヒロインのくるみは非常に明るい性格(に見える)であり、また受け入れる側の安達家も、姉二人は社会人と大学生ということで、年上の余裕があるというもの。母親役の胡桃はどういう了見で受け入れたのか定かではありませんが、大人の余裕を感じさせるサバサバとした印象を受ける女性です。

 物語の肝となるのは、自身が浮気相手の子供であるという出自における引け目だとか、可愛がってくれた祖母のボケが進行していく悲しみだとか、父の本妻と一緒に暮らすだとか、14歳という多感な時期に向き合うにはなかなかハードな事情の数々。それらをまともにくらわないよう彼女なりに必死に明るく生きているのですが、かわしきれずにダメージを受けることもしばしば。そんな時の心のよりどころとなるのが、植木屋のイズミというわけ。唯一当事者でない彼が、いい距離感で心を許せるのでしょう。


私空あなた私0002
唯一の男性であるイズミですが、正直1巻読んだ時点では謎。あまり爽やかさはなく、かといってもっさり感もなく、ちょっと無骨でつかみどころのない人物といった印象があります。ヒロインの年齢から考えても恋愛という感じにはなりそうもなさそう。彼が波乱の中心となるのですが「かき乱してやろう」という意図はあまり感じられず、期待に応えているうちに自然と動きを作ってしまっているという感じです。ある意味安達家の自業自得のような感もあるんですけれども。


 描かれる様子は仲良しな家族そのものという感じではあるのですが、それがどこかわざとらしいというか、それぞれの役割を演じている感がにじみ出ており、なんだか居心地が悪いくもやもやする感じがあります。この気味の悪さがだんだんと形を帯びてくるのが見所であるのですが、面白くありつつも気持ちよさは全くないという(笑)後半は望まざる静かな対立構造が出来上がってきて、さてどう転がるかというところで幕引き。じらし上手です、もう…(悶々)

 1巻時点で面白いかと問われると、ちょっとよくわからんというのが正直なところなのですが、いくえみ綾先生の作品っていつもそんな感じなので、平常運航という感じでしょうか。そのままふわっと終わる作品もままあるのですが、本作ははたしてどっちでしょうか。個人的には本作は設定から割と好みなので、追いかけてみたいと思います。


【男性へのガイド】
→いつものいくえみ綾作品でございます。
【感想まとめ】
→ 小さな出来事が積み重なって少しずつズレが生じてくる。この気持ち悪さと面白さを味わえるのはこの作者さんならではかと思います。


作品DATA
■著者:いくえみ綾
■出版社:幻冬舎コミックス
■レーベル:バーズコミックス
■掲載誌:スピカ
■既刊1巻
■価格:630円+税


■試し読み:第1話

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