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Tag [続刊レビュー] 2015.03.01
3iCEAAdKlj.jpg村崎翠「未完成ラヴァーズ」(2)



ダメでも迷惑でも
好きなんだよ……!




■5歳年下の直から一目惚れされ、日々「付き合ってくれ」と迫られている高校3年生の琴乃。そんなある日、琴乃は、理想にぴったりの大学生・透也と出会う。大人で、優しくて、落ち着いている透也を見て、ダメだとわかっていても、直と比べてしまう琴乃。そして、自分の気持ちばかり押し付ける直を、「そのままじゃ、好きになんてなれない」と突き放してしまい……。


~2巻発売です~
 2巻発売しています。中学生と高校生の年の差ラブコメです。直の想いとは裏腹に、なかなか距離は縮まりません。2巻でラストで不穏な動きを見せていましたが、2巻でもじりじりと平行線をたどる状況に。正直なところ運動会の一件は直がちょっと可愛そうだなぁとか思ったのですが、ダメですかそうですか。

 琴乃もかなり優柔不断というか、自分がない感じで、ちょっとイライラしてしまう場面もあったりしました。大きく年の離れた相手を恋愛対象として見るためには、常識に囚われない発想…つまるところ、自分の中に確かな価値観・評価尺度を持っていないと難しいものがあると思うのですが、彼女にはなかなかそれがないですよね。どう相手を評価してよいかわからないので、「普通に考えたらありえない」と切り捨てる。


未完成ラヴァーズ20001
 将来何をしたいという想いを抱けていないと語る彼女の言葉が、それをよく表しているような気がしました。相手を想うためにはまず自分を固めることが必要で、この物語は二人の絆の深め合いのようなイメージがあるのですが、結局は彼女自身が自分の中の考えというか価値観を固めることができるかという所に懸かっているような気がしています。


~ライバル登場~
 さて、そんな迷い続ける琴乃に鞭を入れるがごとく、新キャラの登場ですよ。それが、直と同級生の美少女、白坂さん。


未完成ラヴァーズ20002
わかりやすい美少女


 非常にわかりやすい美少女ですよね。どこか育ちがよさそうな雰囲気で、AKBというよりは乃木坂的な…。学年どころか学校一可愛いと噂……で、わかりやすく直が好きなんですね。しかも純粋に想いを寄せる内気な子ではなく、自分の手に入れたいものはアグレッシブに獲得しにいくという積極性も持ち合わせているようで、琴乃に早速ゆさぶりをかけてきています。性格はどうなのかよくわかりませんが、好きだと思ったものに対して全力で向かっていく姿は直と同じで、どちらも将来成功しそう。この二人がくっついたら完全無欠な感じがしますが、それはそれで面白くないわけで。さて彼女の登場が、琴乃にどんな変化をもたらすのやら。楽しみです。


■作品紹介
作品紹介→12歳の生意気男子が高3女子に熱烈アプローチ!:村崎翠「未完成ラヴァーズ」1巻

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