
ようこそ
われらが紳士の隠れ処へ
■女装男子・小篠景虎は、父親と大ゲンカの末、家を出て、住み込みで働くことに。働き場所は、高齢の男性だけのシェアハウス!しかも住人たちは皆、何か訳アリの様子。果たして景虎と住人達は、上手くやっていけるのか!?日々の小さな出来事が愛おしくなる、ハートフル日常コミック!
「つづきはまた明日」(→レビュー)を描かれている紺野キタ先生のスピカ連載作です。女装男子の主人公が、メイドとしてアラ還、アラ古希の男性4人が住むシェアハウスに住み込みで働くというお話。厳格な父を持つ景虎は、ケンカの末に家を出ることを決意。以前話が来ていた、おじさんとその知り合いたちが住むシェアハウスでハウスキーピングを引き受けることに。そこに住むのは4人の男性。いずれも年相応に頑固で、けれども温かい彼らと暮らすことで、景虎もだんだんとその家に自分の居場所を見出していくようになるのですが……というお話。

ポイントとなるのは、主人公が女装男子というところかと思うのですが、それが効くのは一発目だけで、すぐに一人の男の子として扱われるという。
どういう話かと問われると、老人たちと一緒に暮らすホームドラマという他ありません。お年寄りですから、健康面では様々問題を抱えているし、話を聞けば色々な過去が出てくるし、頑固者でもあるけれどその触れ合いには愛を感じるし……まぁなんとなく想像しうるような出来事が起き、それを乗り越えるたびに絆を深めていくというハートウォーミングハートウォーミングな物語。
男だらけの掛け合いってのも年代差を感じさせる内容であれば十分面白いのですが、それだけじゃお腹が空くわということで、女の子もしっかり投入されます。筆頭は景虎の妹である桃と、景虎の彼女であるマコちゃん。孫くらいの年齢の女の子と触れ合えるとじいさんたちも嬉しいもので、彼女らの要求をすんなり受け入れちゃうんですよね。執事ごっこ的にスーツを着せて、それをおじいさんたちもノリノリで演じてみたり。
物語の中盤では、独身を貫くおじさんの元婚約者が登場するなど、シルバーラブロマンスの匂いもしてくるのですが、尺の都合なのか言うほど波風は立たず。これ以外も事件らしい事件はそうは起こらず(救急車で運ばれるとかはありましたが)に進んでいきます。ある意味では退屈なのかもしれませんが、この変わらなさが一つこのコミュニティの魅力であり、そうした中に食い込める(=居場所を与えられる)というのが喜びになるのかもしれません。
【男性へのガイド】
→おじいさんだらけですが、やはり枯れセン的に萌えることができるのかっていうのが大事かと。
【感想まとめ】
→何があるわけではないのですが温かみは健在で、ちょっとした安らぎを得たい時などに読むと良い作品かと。
作品DATA
■著者:紺野キタ
■出版社:幻冬舎
■レーベル:スピカ
■掲載誌:スピカ
■全1巻
■価格:630円+税