
これからもよろしくおねがいします
■12巻発売、完結しました。
沖縄で馬村と、初めて2人きりでお出かけ。はしゃぐすずめの目に映ったのは……獅子尾!?考えないように避けてきた気持ちを確かめるため、走り出したすずめ。最後に選んだ答えは……。感動の最終巻!
~完結しました~
12巻で完結しました。結果はどうなるかおおよそ見えていたものの、“万が一”があるかもというドキドキ感は残しつつの最終巻でした。なお最終巻の表紙は白ベースに制服の緑ろ文字の金色が映えるオシャレな色合いで、好きですねー。何より件の3人に加えてゆゆか様がちゃっかりいるってのが素敵だと思います。というわけでここから内容に入ってきますが、完全にネタバレなので未読の方はご注意ください。
~最後まで男二人にはイライラを…~
せっかくの沖縄旅行で、本編でもその辺りがじっくりと描かれるかと思っていたのですが、ある男によってそれが邪魔されることとなりました。はい獅子尾です。もうここ2巻くらい散々書いているの通り、別れて以降女々しさマックスで分別のつく大人とは思えぬ行動の数々にイライラさせられていたわけですが、今回も同じく。なんていうか子供相手にズルいんですよね。今回も怪我をするわけなんですが、あんたなんでこのタイミングで怪我するかねっていう。土壇場での怪我・病気ってのは大抵相手本線のキャラで使われるのですが、あなたがここでそのカード切りますかという驚きがまずありました。正直馬村で間違いないと思っていたのですが、このくだりが出てきてだいぶドキっとさせられたという。
で、そんな中馬村も引き留めておけばいいのに、当て馬が切るカードである“理解力”と“優しさ”をがっつりと繰り出します。ここで強引に抱き寄せて引き留めるぐらいの気概があってもいいのになぁとか思ったのですが、とにかくすずめのことを第一に行動するという彼の姿勢は変わっておらず、いつまでも馬村は馬村なんだなぁと安心させられました(完全にひいき目)。

ここで完全に終わったと思って落ちる馬村も、噛ませ犬っぽさ満点で素敵でした。海辺に佇んでみるとか、実にベタな行動を取っているあたりもポイント高めです。
~この体勢がらしいですよね~
かくして迎えたラスト、二人は海岸で想いを伝えあうわけでございます。最後はすずめのペースで勢いよく走り抜けたという感じがありますが、素敵でした。最後はすずめが馬村に覆いかぶさるような体勢=すずめが見下ろし、馬村が見上げ驚いている形で迎えるわけですが、これも実に二人らしい体勢といいますか。この流れはこれからもずっと続いていくんだろうなぁと予感させるものがありました。で、ようやく最後に……

キス
ようやく最後にキス。これまでも惜しいシーンはあって、12巻の水族館でも未遂で終わっていたというじらしっぷりでした。むしろあそこでキスに行かせずに東京に戻すってところは、「馬村とは終わり」という印象を少なからず補強する材料となっていた感もあり、最後までどちらかわからないようにしておこうという工夫が散りばめられていたんだなと思わされます。上のシーンで注目したいのは、馬村の手。これ抱き寄せているように見えるのですが、よく見ると少し空間が空いているように見えます。実際に触れていたのかは定かではないですが、少なくとも強く引き寄せるということはしていなかったんだろうな、と。これは馬村の女性になかなか触れられないという特質の表れかもしれませんし、壊れないようにそっと触れるという繊細さ・優しさの表れかもしれません。正直かなり腹筋使ってるんじゃないかと思うのですが、それをみじんも感じさせず、果てには「柔らかかった」というお墨付きまでもらえる馬村さん、さすがです。
というわけで、最後までドキドキしながら楽しむことができました。ここ最近はストレートな青春恋愛ものでツボにはまるものが少なくなってきていたのですが、本作はドハマりしっぱなしで、きっとしばらくたっても何度も読み返すことになるんじゃないかと思います。馬村はここ数年でも1・2を争うほどに好きなキャラでした。どうやら本作、本編の方は完結しましたが、番外編を収録した単行本が後日出るらしいです。もう少しだけ余韻に浸りつつ、その新刊を待ちたいと思います。
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