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2015.05.05
51DZ1ox0aiL.jpg海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」(5)



たまらーん!!



■5巻発売しました。
 契約結婚夫婦の津崎とみくりは、ついに相手への恋愛感情を自覚する。だが相手の自分への想いを知らないため、互いにぎこちない。そして定例の「ハグの日」に起こった出来事とは……!?一方、津崎の同僚・風見と、みくりの伯母・百合の関係にもある変化が?


~ハグ一つで1巻丸々引っ張れるという面白さ~
 5巻ですが相変わらず面白いです。ドラマ化とかしてくれないですかねー、絵面は静かながら面白いと思うのですが。というわけで結構自分でもプッシュしていたつもりの本作、ブログで取り上げるのはこれでまだ2回目なんですよね。このマンガがすごい!Webの記事で書いたりとかしていたので、度々名前を出しているつもりだったのですが。

 5巻はハグを巡るやり取りがメイン。4巻ラストで不意にキスをして微妙な雰囲気な中、互いに平静を装い、自分の中であれやこれやと考えを巡らすという。お互い好きあっているのに、「契約」であるがゆえにそれ以上のことに踏み込めないやきもき感が素晴らしい。普通であれば「友達」という、やや曖昧な定義の元で「この関係を壊してよいのか」と悩むワケですが、本作の場合は明確に「契約」という規定の元で繰り広げられるので、聞き分けの良い大人にとっては余計に辛い状況であるわけです。ましてや二人とも恋愛経験に乏しく、どう出たらよいかわからないという初々しさ。片方なんて童貞ですからね、キスから先の進め方なんて、たとえ普通のシチュエーションだったとしても分かるわけがない(断言)。ゆえに行ったり来たりしながら状況は全く改善せず、なんと定期ハグの扱いをどうすべきかというところだけで1巻を消費します。


逃げるは恥だが役に立つ0002
これだけだと進展がなくて面白くないんじゃないかって思われるかもしれませんが、これが面白いから不思議。双方の堂々巡りの考えと、不器用なりにちょっとだけでも状況を変えてみようと、相手の様子をうかがおうと試行錯誤する様子がとても面白い。初々しさは子供とそう変わらないのですが、考えや行動の背景は大人らしいもので、その二つのマッチングが絶妙。


~キスだけでこんなにエロいものなのですか~
 結婚という形態はとっているものの、あくまで契約であり、ハグですら精一杯。ゆえにセックスなんてものは夢のまた夢で、現時点ではキスという一つの到達点でのせめぎ合いが頂上となっています。単なるキスなのですが、じらしや期待などが相まって、やけにエロい。



このコマだけだとアレかもしれないですが、流れの中で見るとめちゃくちゃいい感じなんですよ。


 相手の気持ちがわからない中でするキスというのは、自分の気持ちのみが高まっている、ある種下心が先行したカタチでのキスとなるので、両想いの証としてする一般的なキスよりも、どこかエロティックになるのかなぁ、と。もちろん両者共に好きあっているのは、読者はわかっているんですけれども、みくりないし津崎の視点からすると。何回もしちゃうとか、もうですね。。。

 さて、状況はなぜか一層こじれて6巻へ突入するのですが、もうひと悶着、ふた悶着ありそうですね。変な方向へ流れ過ぎないことを祈っていますが、さて不器用な二人の仲はどうなるのでしょうか…。


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