このエントリーをはてなブックマークに追加
2009.04.11
腐女子彼女1神葉理世/ぺんたぶ「腐女子彼女。」(1)


   あたしね…
オタクなんだけど
…それでもいい?



■4巻発売しました。
 大学生の武藤大河は、アルバイト先の先輩・飴谷結子さんに一目惚れ。けれどなかなか接点を得られず、日々は過ぎて行くばかり。そんなある日、大河が仕事でミスをしてしまう。必死に挽回しようとする彼に、そっと手を差し伸べてくれたのは、他でもない結子さんだった。それをきっかけに、二人の距離は急接近。何度目かの食事の帰り、大河は意を決して想いを伝える。返事はなんとOK。しかしなにやら彼女には、気になることがあるようで…「オタクっていっても、腐女子っていうんだけど…」。腐女子彼女とのディープな毎日が始まった!!
 
 人気のブログ本のコミカライズ作品です。さらに映画化もされ、GWにはロードショーだとか。原作本ぺんたぶ「腐女子彼女。」は私も読んだことがあります。あちらは腐女子の彼女に振り回されるシーンを一つひとつを切り取って、単発ネタで作品が構成しているのですが、マンガの場合はそれらをオリジナルストーリーで繋ぐといった形。それ故原作よりも物語的になっていて、腐女子ネタ以外の恋愛の部分も楽しめるようになっています。原作読んだときに、コミカライズあるなら4コマだよなぁ、と思っていたので、この形は意外でした。


腐女子彼女
腐女子云々以前に、オンナ度がとても高い結子さん。

 
 一見「腐女子を愛せるか、好きになれるか」というテーマが描かれているように見えるものの、実際は違うんじゃないかなぁ、と。これは、「好きになった人が腐女子だった」というのがテーマで、「腐女子を好きになれるか」という問いかけとは根本的に異なる気が。大して違わないように思われるかもしれませんが、コレ結構大事。入り口が全然違うんですよね。大河は「腐女子」以前に彼女を「女性」として認識しているワケで。原作は腐女子ネタ全開できましたが、今回はラブコメのテイストを盛り込んでいるので、余計にそういった感じが強く感じられるのかもしれません。ってか結子さん、腐女子とか言う前にそもそもオンナ力むちゃ高いですし。
 
 原作とはなんとなくベクトルが違う感じ。腐女子ネタを純粋に楽しみたいのであれば原作を、ラブコメ好きならマンガを読むのが良いんじゃないでしょうか。オタク的な教養をお持ちであれば、原作の方が良いかもしれません。原作は実際のマンガやアニメのネタが盛りだくさん。一方マンガの方は、オトナの事情でそういったネタは出てきません。ただその分ラブコメを楽しめるという。さて映画はどうなるのか。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→Mっ気のある男性は結構好きなんじゃなかろうか。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→読みやすいですし、ラブコメとしても一定の水準にあると思います。原作共々、興味のある方は一度手に取ってみてはいかがでしょう。


作品DATA
■著者:神葉理世/ぺんたぶ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's LOG COMICS
■掲載誌:B's LOG(2007年7月号~連載中)
■既刊4巻

カテゴリ「B's LOG」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。