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Tag [オススメ] [BL] 2009.04.13
shinnkuyusetsu1.jpgびっけ「真空融接」(上)


アレクシや僕の両親を見て
気恥ずかしい気分になったり
寂しくなったりするのは
きっと自分たちの数年後を想像してしまうから



■3冊目、「春」が発売になりました。
 全寮制の学校で暮らすラエルとアレクシ。二人の毎日は、たっぷり30秒間のキスで始まる。これは、別に二人が恋人同士だからではない。彼らの国の人々は、「供給」と「補給」という二つの体質に分かれており、決められたパートナーとキスをして、エネルギーをやりとりしなければ、生きていけないからなのだ。パートナーは子供の時に、最も波長の合う相手が選ばれるが、ラエルとアレクシはその中でも珍しい男同士の組み合わせ。そんな二人と、彼らをとりまく人々が織り成す、珠玉の物語をお楽しみください。
 
 先日同じ作者さんの「あめのちはれ」(→レビュー)をご紹介したので、流れに乗ってこちらもご紹介。この「真空融接」なんですが、レーベルがB's-LOVEY COMICSということで、BLに分類されるんですね。まぁあらましを読んでいただければ分かるとは思うんですが…。しかし厳密にはBLとは言えないのかもしれません。というのも、性的な描写として描かれるのはキスのみと、段階としてはかなりプラトニック。そのキスも、恋愛感情からではなく、あくまで「生きていくためにせざるを得ない」という縛りからくるもの。そういう意味で、BLテイストと言った方が正しいのかな。
 
 じゃあ全然男でもすんなり読めるのかと言ったらそうではありません。キスという軽めの性表現ではあるものの、設定上その行為は生命の根源的な部分に繋がってくるので、ある種「食べる」ことや「セックス」と同じ次元にあると言えます。そのため、単なるキスでも妙に生々しい。これはかなりの高等表現じゃないのかなぁ。挿入ありきに流れつつあるエロ重視のBL作品は、少し見習って欲しいものです。さて、ならどうして紹介したんだよ、ということになるのですが、「この作品は男性にも読める」と踏んだから。あれ、さっきと真逆のことを、と思われるかもしれませんが、あれはキスにのみ絞った話。この作品が男性を引き込む要因は、別の所、さらに具体的に言うならば、下巻に登場するイルゼの存在にあります。


真空融接
イルゼの存在が、この作品を"物語"に昇華させた。

 
 女性がBL作品にハマる要因の一つとして「自分が女であることを忘れられる」というのがあります。それ故、BL作品には極力、恋愛する女性や結婚、妊娠といった女であることを自覚させる要素が登場しません。まぁ男同士ってのもあるんでしょうが、そのワードを出した途端に夢から現実に引き戻されてしまうんですね。けれど「真空融接」ではそれがちゃんと描かれています。アレクシの出生に関する、父親と母親(イルゼ)の話なのですが、男女の恋愛から、妊娠、さらに出産まで。それが結果的に、この物語を地に足つけさせる形に。これはなかなか出来ないです。素晴らしい。
 
 上巻時点では、単に男同士のカップリングを描くだけで、正直読んでいて辟易としたのですが、下巻でこの話が出てきて、一気に物語に引き込まれました。これを女性がどう感じるのかは分かりませんが、男性にとってこれは確実にプラス。現実味のないフワフワした世界が、一気にリアルになって迫ってきます。上下巻同時発売だったのですが、ここまで下巻で惹かれた作品はちょっとないですね。そういった意図があって発売したのだとしたら、グッジョブと言わざるを得ません。ちょっとBLの世界を覗いてみたい方に。単なる腐女子の妄想ではなく、しっかりとした物語を覗いてみたい方に、上下巻セットでお薦めします。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→BL作品の中では抜けて読みやすいんじゃないでしょうか。読むのであれば上下巻同時をお薦めします。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→びっけの作品でどれが一番好きかと聞かれたらやっぱりコレかなぁ。下巻での引きがハンパなかったので、余計印象に残ってるのかもしれませんけど。

びっけの他作品のレビュー→びっけ「獏-BAKU-」びっけ「あめのちはれ」

作品DATA
■著者:びっけ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's-Lovey Comics
■掲載誌:ビブロス刊MAGAZINE BE×BOY(2004年5月号,11月号),JUNK BOY(2005年ふゆやすみ号),MAGAZINE ZERO(2005年vol.45)他同人誌、書き下ろし
■既刊3巻(完結?)
■価格:各650円+税

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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レビュー
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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