
ふ~ん じゃあ教えてやろう
綾
その症状は
恋だ
■2巻発売しました。
R高校の教師で、生徒からの人気も高い綾井剣(通称;綾ちゃん)。彼には、どうしても苦手な生徒が一人いる。担任をしているクラスの女子生徒・遠藤伽良。彼女と対峙すると、胃が持ち上がるようになって、動悸がして冷や汗が出る。そのことを、それとなく友人で同じくR高の教師の辺名に聞いてみたところ、それは恋だと指摘される。そんなこと、あるわけない。そう想いを振り払おうとした綾だったが、あろうことか放課後、伽良と二人きり、資料室に閉じこめられてしまう。それをきっかけに、やはり自分の想いが「恋」だと気づいてしまった綾は…!?
生徒に恋する高校教師のお話です。生徒と教師というカップリングは少女マンガ界では王道とも言える組み合わせですが、男性視点からというのはなかなかありません。それも、活発な熱血系、それでもって少しニブいという、戦隊ものでいったらレッドのような男が主人公。それ故、ありがちな生徒×教師のお話とは一味違います。真面目に、本気で教育に打ち込んでいるからこそ、そんな想いは決して持ってはいけない。募っていく想いとは裏腹に、綾はあくまで教師として伽良と対峙していきます。一方伽良の方も、綾に惹かれていき、いつしかその想いを自覚するように。正直に想いを伝えることすらはばかられる、そんな関係に、どうしたってやきもきし、切なさを感じずにはいられません。

気持ちは自覚しても、あくまで教師でいることを選ぶ綾。
そんな二人の様子を楽しんで観ているのが、綾の同僚・辺名。文字通り「変な」奴で、正直なにを考えているかわからない。生徒達からは不気味がられ、敬遠されている。そんな彼が、友人として、時に傍観者として綾を、そして伽良の手助けをします。彼がいるから上手いこと空気が変わって、作品の新鮮さが保たれているのでしょうね。
教師×生徒ものでは得てして、そのカップリングに説得力が見出せない場合が多いのですが、この作品は不思議と説得力が保たれています。単に男視点になったからなのか、それとも作者の腕によるものなのか…。多分その両方なんでしょうね。生徒→教師だと、どうしても憧れの域を出ることができないのですが、その逆ともなるとまた話は別。後は動機付けをいかにできるか、という部分に懸かってきます。それが、主人公の性格も相まって上手く行ったということなのでしょう。とにかく面白いですよ、ということです。
2巻ではやたらハーレム状態に。これ少女マンガでありながら、踏襲しているスタイルは恋愛シミュレーションゲームに近いような気が。ニブくてモテるなんて…。状況としてはありえないのですが、それでも、主人公に男性としての魅力が見出せるので、納得はできるようにはなっています。ここが都合の良い恋愛ゲームと決定的に違うところか。
さてさて、2巻でもくっつかない二人。このまま微妙な距離感を保つのでしょうか。くっついたらそこから怒濤の昼ドラ展開に向かいそうなので、ギリギリのところでくっつかないでいて欲しいというのが個人的な願いです。
【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→男が主人公だということもありますが、それ以外にも男性が読みやすい条件が揃っていると思います。恋愛にのみテーマを絞った作品で、ここまで男性に易しい作品もそうないだろうな、ということで。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→うーん、なんだかんだで楽しんで読んでいるので。ちょっと評価しすぎな気もしますけど。今後どう展開させるのか注目。
作品DATA
■著者:遊知やよみ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス クッキー
■掲載誌:クッキー(平成20年4月号~連載中)
■既刊2巻
■価格:各400円+税