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Tag [オススメ] 2009.04.18
12notukinomegurumani.jpg吉川うたた「12の月のめぐる間に」(1)


「どうして私が狙われるの!?」
「おまえが吸血鬼の娘だからだ あきらめろ」
「うそ!!!!」
「本当だ」



■4巻発売しました。
 17歳の誕生日。その日を境に、奏の毎日は一変した。様子がおかしいクラスメイト達に突然襲われ、さらには得体の知れない化物にまで襲われた。それでも何とか無事で過ごせているのは、灰色の髪の謎の男が助けてくれたから。その男が言うには、奏は吸血鬼の娘で、17歳になると封印が解け、化物たち(他の吸血鬼)に気づかれるようになる。そして同時に、奏を守るための封印も解け、男が現れたというのだ。突然のことに事態が飲み込めない奏だったが、吸血鬼達は容赦なく襲ってきて…!?
 
 なぜ奏が襲われるかというと、伝説の大吸血鬼(父親)の血を引いているから。その血を取り込みたいと、多くの吸血鬼達が、封印の解けた17歳の誕生日を境に襲ってくるようになります。また吸血鬼にも様々な者がおり、ただ奏の血を吸いたい者から、父親を崇める者、逆に敵対していた者、さらには吸血鬼撲滅を目指すハンターという存在まで。とにかくありとあらゆる吸血鬼たちが奏との接触を図ってきます。そんな彼女を守るのが、謎の灰色の男。彼の正体は飼い猫のフク。所在不明の父親が残していった猫で、奏の封印が解ける17の誕生日と共に、フクの封印も解けるようになっていました。なぜ封印が掛けられていたかというと、奏に人間として生きるか、吸血鬼として生きるか、自分で決めて欲しいと父親が願ったから。その考える期間が1年間ということで、このようなタイトルがつけられています。


12の月のめぐる間に
吸血鬼マニア・加賀野井さん。マニアって設定はどうかとは思うのですが、彼女がいることで話が円滑に、かつわかりやすく進行されるのもまた確か。


 フクだけでなく、吸血鬼の関係者は昔から奏の周りにおり、ハンターの幼なじみや、吸血鬼マニアの先輩がいたりと、17の誕生日を境に吸血鬼モードにシフトしていきます。そのため、守ってくれる存在を愛でるだけというお話にはならず、ファンタジー作品として楽しむことがでるんじゃないでしょうか。設定が設定だけに、受動的にしか話は進まないのですが、多彩なキャラ達を上手に利用することで、決して強引な運び方にしないのはさすが。また期間が確定しているので、だらだらと流れるということもなくて良いですね。ありがちな題材ですが、しっかり練り込まれているので、飽きる事無く読み進めることができます。


【オトコ向け度:☆☆   】
→女性向けファンタジー。男が好く要素は少ない気がします。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ありがちな話ではありますが、しっかり組み立てられているので楽しんで読むことができます。良作ファンタジーですね。


作品DATA
■著者:吉川うたた
■出版社:秋田書店
■レーベル:プリンセスコミックス
■掲載誌:プリンセスGOLD('06年9月号~連載中)
■既刊4巻

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