
言った事がすぐ影響しちゃって怖すぎる
でも
きちんと自分を持っている
■3巻発売しました。
男だけど少女漫画家をしている桃瀬稜は、幼なじみで時折アシスタントをしてもらっているはるかから、妹を紹介される。彼女の名前はちか、小学生のような見ための女子高生で、漫画家志望、現在家族にその夢を反対されて、姉の所に家出中だという。久々の再会は嬉しいが、なぜ妹を…?と思ったら、漫画の描き方を教えてやって欲しいと言う。最初は相手にしなかった稜だったが、時折見せるセンスの良さと、何よりはるかからの脅しに屈し、結局面倒をみることにするが…!?
漫画家志望のヒロイン・ちかが、幼なじみの少女漫画家・稜のもとで修行をしていくという、お仕事コメディです。漫画家志望とは言っても、投稿などの経験はなく、完全にゼロからのスタート。トーン選びや、良作を嗅ぎ分ける嗅覚などには優れるものの、テクニックは目も当てられない。そんな彼女を稜は、面倒くさがりながら指導するのですが、時折ちかが放つ純粋な言葉や行動に、逆に何かを学び取り、だんだんと信頼関係を築いていきます。コメディの様相を呈しているものの、同時に漫画家マンガにもなっており、巻ごとにテーマが掲げられ、仕事についての解説がされます。

ベタ塗りだって最初はこんな状態。
漫画家志望の女の子の成長物語というよりは、純粋で明るいヒロインから、逆に稜が何かを感じとり、漫画家としての道を確かめる、人として成長・充実していくというお話になっています。何となく、作者さんの願いとか、理想のようなものが感じられます。多分ちかを描くことで、自分を鼓舞し、正しい姿勢を忘れないようにしているんじゃないのかなぁ、と。ただそのせいかどうかは分からないのですが、「きれいごと」と感じてしまうシーンが多かったように思います。でもそれがこの作品の魅力でもあるわけで…。理想を掲げるのは大切です、けれども、現在「バクマン。」という大作が連載されている中では、どうしても「きれいごと」と感じてしまう所が出てきてしまう。根幹は「マンガが好き」で「良い作品を描きたい」で共通してるんですが、どうなんでしょう。でもコレが本来、漫画家さんが描く漫画道なわけで…。
だとしたらやっぱりコメディとして楽しむのが正解なのでしょう。ただコメディの割には情に訴えかけるような真面目展開が多いので、(読み手として)その辺の折り合いをどうつけるかが大切。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→男性に読むためのガイドを示すとしたら、ヒロインのちかでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→どうにも「薄い」感じが否めません。笑いとシリアスのメリハリをもっとつければ、また違ったのかな、と。とはいえ明るく楽しい日常系のお話が好きな方は、十分楽しめると思います。
作品DATA
■著者:絵夢羅
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成20年5月号~連載中)
■既刊3巻