
彼氏のいる
処女のモーソーは,
そーとースゴイ。
■短編4編を収録。
とりあえず表題作をご紹介します。
ずっと友達として付き合ってきた夕とつき合うことになった明日香。改めて男として意識してみると、妙にドキドキした。恋愛経験ゼロ、キスも、エッチも…未知なるものがいっぱい。今まで無意識に触れあってたことが、意味あるものに変わるのに、そう時間はかからないって思ってた。けれど、夕は全然近づいてこない。そんな夕の気持ちが段々わからなくなってきた明日香は、大切な誕生日を、遊び人の寅くんと過ごすことにするが…!?
「好きっていいなよ。」(→レビュー)で話題を集めている葉月かなえさんの連作短編集です。それぞれ読切りとして独立しているものの、登場人物や舞台など、所々でつながっており、普通の短編以上に読み入ることができます。各話でヒロインとなるのは、恋愛初心者の女のコから、セフレをしている子、男の子が苦手な子など様々。舞台となるのが、恋愛に性に非常に活発な高校なため、話の展開は少し派手目でございます。3話目以外はセックス絡みの内容になってくるわけで、まぁ今の10代の恋愛なんて遠からずこんな感じなのでしょう。

女の子の等身大の気持ちというのが、上手く表現されていると思います(ま、男なんでホントのとこは分からんけどさ)。
葉月先生の描く作品の魅力は、身体の触れ合いの喜びや気持ちよさを表現する力にあると思います。他誌で少しエロめのお話を描いているということで、その辺の表現が非常に上手なんですね。白泉社系統はそういった表現を極力抑え、小学館(少コミ)はエロは描くものの、心情表現が少し疎かになる部分がある。そんな中、そのどちらにも寄らず、身体的接触の喜びを、ありのままに表現させることができる菜月先生の手腕は、本当に素晴らしい。セックスを描くにしても、こういった形での描き方をすれば、周りからとやかく言われんでも済むのになぁ。
この作品は、菜月先生を知るのにちょうど良い入門書のような存在になるのではないでしょうか。全部が全部性に絡めているわけではありませんし、性に絡めるにしても、その幅はかなり広く、きっと読んだ方は驚かれるでしょう。「好きっていいなよ。」はシチュエーションが個人的に合わなかったのですが、こちらはバリエーション豊かで楽しく読むことができました。こういう恋愛だってあるんだよ、と。それでもって、こういう恋愛こそ、等身大と言えるんじゃないかな、と納得させてみたり。
【オトコ向け度:☆ 】
→少女マンガを読む男は、こういう作品好きじゃないでしょう。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→短編としての出来は上々。嫌がる人もいるとは思うのですが、やっぱり良いものは良いです。
作品DATA
■著者:葉月かなえ
■出版社:講談社
■レーベル:KC デザート
■掲載誌:デザート(平成18年2月号,7月号,平成19年3月号,5月号,)
■全1巻
■価格:390円+税