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2009.04.19
07151255.jpg松月滉「幸福喫茶3丁目」(1)


幸福町3丁目にて
あたしのハッピーライフ
はじまりはじまり



■13巻発売しました。
 引っ越してきた町で見つけた、素敵な喫茶店。こんな店で、私も誰かを幸せにしたい…。そんな想いから、アルバイトその喫茶店・ボヌールでアルバイトを始めた高村潤、16歳。しかしそこにいたのは、お店のイメージとは似ても似つかない、無愛想なパティシエと、無気力な学生バイトがいるだけだった。それでもなんだかんだで優しい彼らに、次第に馴染んでいく潤。小さいけれど怪力で、元気一杯な潤の、幸せ探しの毎日が始まった!

 町の喫茶店を舞台にした、幸せ探しラブコメディです。母親の再婚がきっかけで、なんとなく居場所が見つけられずにいた潤は、一人暮らしをさせてもらうことに。その引っ越し先で見つけたのが、喫茶店・ボヌール。一目で心奪われた彼女は、そこでアルバイトをすることを決めます。しかしそこには、無愛想なパティシエ・進藤さんと、変人で無気力なバイト・一郎くんだけ。挙げ句店長は不在。しかし持ち前の元気と接客の上手さで、自分の居場所を確立。彼らとも仲良くなっていきます。そんな変わり者揃いのカフェで起こる毎日の出来事と、彼らとのやりとりを、明るく楽しく描いていきます。


幸福喫茶3丁目
小ネタ。個人的に気に入ったカットです。

 
 再婚で、親との兼ね合いが…というスタートでしたが、それに関しては1巻で早くも解決。それまでは、「誰かを幸せに」というスタンスで生きてきた潤でしたが、喫茶店で働いていくことを通して、「自分の幸せ」を探すようになります。とはいえ何か具体的な行動を起こすのかというとそうではなく、ただ喫茶店でアルバイトをするだけ。要は日常系のコメディだと思っていただければ良いと思います。
 
 バイト先での出来事と、主に進藤さんと一郎くんとのやりとりを描くだけなのですが、不思議と飽きが来ません。それはサイドキャラが各々の役割を徹底しているからだったり、底抜けに明るく優しい話が続くからだったりするのですが、一番はこのメイン3人のバランス感が絶妙だからかな、と。サイドキャラが話を作っていくスタイルにはなっていますが、多分3人だけで回せって言われても余裕なんじゃないでしょうか?ラインとしては津田雅美さんかな。ちょっとありえない設定の主要キャラたちを、しっかり日常の中に落とし込む。その腕はお見事。

 巷では「銀魂」に似ていると言われています。確かに似ている部分はあるんですよね、多数。まぁ下ネタ削った白泉社版として考えれば(なんつー考え方だ)問題なく楽しめる(どうだろう)と思います。でも銀魂ファンは嫌なんでしょうね、気持ちは分かります。Amazonのレビューも結構粗を探す感じになっているのですが、個人的にはもっとストーリーに目を向けてみて欲しいなぁ、と。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→後半に進むにつれラブ要素は大きくなっていくのですが、それでも日常系のラインは保っており、男性にも読みやすく作られていると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→カフェでバイトをする。ただそれだけなんですが、それでも充分楽しめてしまう。読後、幸せな気持ちになれる、そんな作品です。


作品DATA
■著者:松月滉
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成17年1月号~連載中)
■既刊13巻

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