
単刀直入に言おう
君の中にある竜の実を目覚めさせ
我々竜の一族を救ってほしい
■3巻発売、完結しました。
兄の宝と、姉の珠の3人で、毎日仲良く暮らしていたサクラ。しかしそんな平穏な日常は、ある日突然崩れさってしまう。夜中、宝と珠の話を偶然聞いてしまったサクラは、自分が二人と血がつながっていないことを知る。そのことにショックを受けていた矢先、今度は何者かが自宅を襲撃してきた。あまりの事態に全く状況が飲み込めないサクラに、兄と姉はこうなった理由を立て続けに説明してくる。サクラは事故で唯一生き残った子供で、弱っていた彼女を二人が見つけ、助けるために「竜の実」という実を食べさせたというのだ。そして、襲撃してきた輩たちは、その「竜の実」を狙っているらしい。そのことだけを伝え、輩に立ち向かっていった二人は、突然光りに包まれ、石化されてしまう。そして、気づいたときには二人の姿はなく
竜の一族と、竜の実を食べた少女の、ファンタジー作品です。とにかくめくるめく事態が展開していくので、上記のあらまし紹介でも全然足りません。さて、兄と姉が連れ去られ、茫然自失のヒロインでしたが、彼女の前に宵闇という竜(姿は人間)が現れます。彼女に「竜の実」を食べさせたのがこの宵闇。こうなってしまった責任の一端は自分にもあると、彼女の兄と姉探しの手伝いを申し出ます。そして辿り着いた先が「竜ヶ淵学園」。人でないものが、人の姿をして多く集まってくるこの学園に、石化された二人が囚われているというのです。何としても二人を助けるべく、竜ヶ淵学園に乗り込むサクラでしたが、そこにはさらに大きな想いが渦巻いていて、彼女はそれに飲まれる形で巻き込まれていきます。

意外と簡単に宝と珠の居場所は判明。その後、どう助け出すかに焦点が当てられ、話が進む。
これで半分ぐらいですかね。とりあえず、大元になるのは「兄と姉を助けたい」ということ。そのために、竜の宵闇の助けを受けながら、竜ヶ淵学園でなにやら厄介な問題に首を突っ込んでいきます。その厄介な問題というのが、竜の一族の存亡について(ちなみに竜ヶ淵学園の理事長は竜の一族です)。竜の一族は現在存亡の危機に立たされており、それを救えるのが「竜の実」というアイテム。しかし竜の実のなる木はすでに枯れており、現存するもので何とかするしかない。そこでターゲットとして浮上してきたのが、サクラというわけ。竜の実が目覚めると、一族が救われるだけでなく、兄と姉の石化も解けるということで、サクラもそれに協力することに。とりあえず実を目覚めさせる方法として、竜と王子と接触が提示され、彼女は王子達に近づいていきます。
とまぁこんなお話なのですが、さらにここに新体操部のストーリーや、宵闇と一族との関係なども話に絡んできて、非常に込み入った状況になります。しかし読みづらいかというとそうではなく、説明的な台詞がしっかり差し込まれてくるので、むしろ分かりやすい部類に入ると言えるでしょう。ファンタジー漫画ではあるのですが、イメージはむしろRPG。ストーリーに澱みがなく、次々イベントが用意されている所とかはまさにという感じ。RPGの醍醐味は、謎解きやストーリー分岐だというのが一般的だとは思いますが、攻略本読みながらサクサクという人達も結構いるわけで、そういう意味では十分楽しめる作品に仕上がっているのかもしれません。ちょっと味気ないですけどね。
【オトコ向け度:☆ 】
→男性にも読める下地はあるとは思いますが、わざわざ読まんでも良いかな、という感じですかね。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→説明は長くなりましたが、いざ読んでみると思いの外スッキリしていますよ。絵柄も秋田書店系にしてはクセがなく、入り口としてはちょうど良いかもしれません。
作品DATA
■著者:すもももも
■出版社:秋田書店
■レーベル:プリンセスコミックス
■掲載誌:プリンセス(2008年1月号~2009年3月号)
■全3巻