
…そうだもう
ひとりではないのだ
4人の共犯者
さあ 復讐の幕が開く
■理事長に陥れられ、死んでいった医師の父親の仇を取るため、学園に男として転入した色。名だたる資産家の子息女が集うこの学園に、父親の過去の患者で、色に協力してくれるはずの4人がいるという。まずは復讐の足場固めをということで、その4人を探し始めるが、その4人は学園でも特に人気の男の子達だった。早速協力を仰ぐ色だったが、4人はそろいも揃って曲者で…しかも何やら秘密の病を抱えているらしく…!?色の復讐への幕が、今開いた!
父の仇を取るため、男として学園に転入し、秘密の病を抱えた4人の男の子達と関わっていく、逆ハーレム型サスペンスストーリーです。父の患者だったという4人は、ハル・ナツ・アキ・フユといい、それぞれ秘密の病を抱えています。最初は非協力的だった4人ですが、利害関係の一致、さらには色の脅しに屈する形で協力することに。そこをきっかけに、段々とお互いを理解。病のことを知っても、全てを受け入れる色に、4人は徐々に惹かれていきます。

「過去にお世話になったから」そんな理屈が通用するほど良い人間ではない。秘密を知っていると脅すことで、ひとまず関わりを持つことに成功。
一番協力的なのはハル。最も穏やかで誠実な彼は、胸に治ることのない傷を抱えており、コンプレックスとなっています。恐らくお相手候補一番手は彼。曲者揃いの4人の中にあって、その真面目な性格は、ひと際"正統派"の匂いを感じさせます。それに対し、最も非協力的なのがフユ。アキの双子で、成績優秀。誰も寄せつけない、孤高の存在です。一方のアキは、フユと正反対の性格で、現在6股中。実はこの二人、双子ではなく、2重人格の別々の人格。生まれつき2重人格だった彼らは、親からの拒絶という経験を通し、フユは「誰にも頼らず一人で生きる」選択を、アキは逆に「誰からも受け入れられたい」という志向を持つようになり、こういった性格になりました。そして、まだ病気が明らかになっていないのがナツ。非常にかわいらしい容姿をしている彼は、とにかく生きるのが上手。常に自分にとって最も都合の良い選択をし、必要ないとあればばっさりと切り捨てる冷酷さも持っています。そんな彼らと対峙していくのが、色。復讐に燃える彼女は、しっかりと彼らの意思・病気を尊重し、等身大の付き合いをしていきます。
病を抱えながら大きな敵と戦っていくという構図、それぞれの疑念が渦巻く人間模様、言葉遊びのようなやりとりをしつつ、知的に展開させる運び方は、どことなく「スパイラル~推理の絆~」を彷彿とさせます。いや、話自体はまったく似てないんですけど、雰囲気がね。
ネタありきの明るい作品が多い白泉社にあって、伏線バリバリ&落ち着いた雰囲気の同作は少々受ける印象が違います。物語の全体的な様相はまだ明らかになっておらず、今の時点で評価をくだすのは時期尚早という感じ。あとがきを見るに、小ネタもイケるようなので、もう少し笑いを入れても良いんじゃないのかな、と思いました。しかし理事長、動くの早すぎないか?汚いことするキャラならなりふりかまわずぶっ潰せる気もするのですが、それはせず、ギリギリセーフのラインで動いてきます。まぁコナンでも犯人が国外逃亡とかしちゃったらだめですし、クッパに「なんでマリオが辿り着けるような造りにすんのさ」なんてことは言ってはいけないわけで、気にしない方が良いのか。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→軽くない雰囲気は、男性達もきっと満足。しかし、結局の所は逆ハーレムものであるわけで、そこが大丈夫かどうかって所が問題ですかね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→まだ物語としてこれといった動きは出ておらず、作品として良作になるのか、はたまた凡作で終わるのかは、現時点では判然としません。しかしそれでも話に引き込む力は十分あり、これだけでも評価する価値はあるのかな、と。
作品DATA
■著者:モリエサトシ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成20年20号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税