
なんか
赤外線て
キスしてるみたいに思えない?
■読切り3編を収録。
「みつげつ」…恋と友情の違いが今ひとつわからない。そんなことを思っていた蜜月の前に現れたのは、とっても頼もしい転校生のナツヲ。女の子だけど、凛とした強さをもつ彼女に、やがて友情を超えた、トクベツな感情を感じるようになった蜜月は…?
「うそつきディストネーション」…ずっと好きだった百瀬に告白したものの、振られてしまった加恵。しかし、部活中の事故で、百瀬の最近1か月の記憶がすっぽり抜け落ちてしまい…!?
「Re:BIRTH」…呼都は、同じ学校のタケに超絶片想い中。何度か告白しているが、その度母親のことを持ち出され、断られている。そう、タケはマザコンなのだ。しかし、それには深く悲しい事情があって…?
どれも少しずつ捻った設定の物語となっています。表題作の「みつげつ」は百合作品。マーガレットで百合というと、昨年「イロドリミドリ」という良作が出ましたが、こちらもそれに追随しようと描かれたのでしょうか。話としては、どうやって惹かれ、くっついていくかではなく、くっついた後の関係の描写がメインとなっています。そういう意味で、百合独特の奥ゆかしさみたいなものはないのですが、これはこれで上手い具合に10代らしい身勝手さが出ており、ちゃんと楽しむことができます。けっきょくラストはこういう運びになるんですか。やっぱり少女誌ではディープにいけないんだろうなぁ。とはいえ私はこのぐらいでちょうど良いので、その流れはむしろ歓迎。

「みつげつ」より。現代少女マンガのテイスト漂う百合のお話です。
また表題作以外の2作も、なかなか楽しめる内容になっています。特に「うそつきディストネーション」は、フラれた相手の記憶の欠落と友達の勘違いから、告白が成功した体で関係を続けるという面白い設定。相手に嘘をついているという罪悪感と、それでも一緒にいたいという感情の揺れが、しっかりと描かれています。しかしラストはこっちかぁ。逆パターンを期待していた者としては拍子抜けした感が強いです。とはいえこの造りは立派。「Re:BIRTH」も他の2作に比べると見劣りはするものの、発表時期が大分前ということを考えれば、余裕で及第点か。
まだ3作目ということで、設定を生かしきれていない感じはあります。どうも話の運びがたどたどしいというか。大枠から、こういう風に表現したかったんだろうな、ということがとっても伝わってくるので、余計にそのギャップが気になってしまうのかもしれません。しかしこういった設定・展開を考えられるのは一つの才能。あとは如何にスムーズに話を進められるかなのですが、それは描けば描くほど上手くなってくるはずですし、頑張って欲しいですね。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→設定は男性でもいける感じなのですが、要所要所で少女マンガの色が強く出てきます。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→良作読切り集。個人的にはもっと切なさを追求しても良いと思うんです。次に期待が持てる作品でした。
作品DATA
■著者:逢沢雪名
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:ザマーガレット(平成17年12月号,平成21年3月号),マーガレット(平成19年No.2)
■全1巻
■価格:400円+税