
ダメって思ったときにはとっくに遅くて
私はもう
あの子を愛しいなんて思ってる
■読切り4編を収録。
では表題作をご紹介します。学校ではクールな教師として行動し、「鉄仮面」なんて呼ばれている琴音。しかしその内面は、とってもズボラ。夢は一冬をベッドの中で過ごすこと。そんな彼女の仕事中の心の癒しは、鞄に忍ばせている癒しマクラ。人のいない所に行き、顔を埋めて束の間の休息を取るのだ。しかしあろうことか、その姿を生徒の深山くんに見られてしまう。慌てふためく琴音に対し、「困ったことがあったら頼っていいですか?」と声をかける深山くん。教師として誠実に対応した琴音だったが、後日突然琴音の家に深山くんが訪ねてきて…!?
教師と生徒の禁断の恋を描いたお話です。表題作以外も、教師と生徒のモチーフが使われているのが2編あります。水谷愛さんの作品は、オリジナルデビュー作「天からの贈りもの」がとても印象に残っています。実に表紙が綺麗なんですよね。で迷わず購入し、本編を読んで、「ジャケット詐欺じゃねーか!」と叫んだ経緯があります。いや、画は魅力的なんですけど、ストーリーがどうも、と。というのも、ページ数が少ないなかで、男の子が妙にクサい行動・台詞を言ってくる、そして女性キャラが必ず泣いて終わりというパターンで、どうも入り込めなかったというか。単調な流れの中で、突然感動へシフトチェンジされても…と。さて、これは今までのお話。今作「先生と一緒に寝て?」ではある変化が見て取れました。

こういうのが描けると思っていなかったので驚き。メリハリが出て良かったです。
コメディ要素の増加。おそらくページ数が増えたことが要因だと思うのですが、こういった小ネタ・笑いを組み込むことで、話にメリハリが出て、またペースも一定でなくなるので、奥行き的なものを感じられるようになりました。正直感動系一本でいきたい作者さんだと思っていたので、この変身には驚き。今後もこの分量で笑いを混ぜ込んでくれると個人的には嬉しいです。しかしながら恋愛に関しては相変わらず一本調子ですね。何故泣く?と。ページが限られているのなら、無理に感動させなくとも良いと思うんですが。
【追記】
cheese!にて連載決定したようです。これはちょっと期待ですかね。
【オトコ向け度:☆ 】
→スイーツ(笑)とか言われそうなノリのお話です。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→コメディという活路が見えた気がした作品。今後に注目したいです。個人的に、色々な意味で思い入れがあるので、応援していきたいですね。
作品DATA
■著者:水谷愛
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!(2008年9月号増刊,12月号ふろく,2009年1月号増刊,3月号増。刊現在本誌にて連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税