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Tag [新作レビュー] 2009.04.26
setsunayuki.jpg真村ミオ「セツナユキ」


今までだったらこういう時
ちょっと甘えて 好きとか言えば
簡単に恋におちたのに
なのに今は
息さえうまくできない



■3話構成の表題作他読切り2編を収録。
 ウエアを着たいがために、冬休みにスノボにやってきた女子高生・凪沙。そんな彼女が、スキー場で出会ったのは、イケメンボーダーの創史くん。ゲレンデで気安く声をかけてくるような男たちとは決定的に違う、なにか特別なものを感じた。真剣にスノボに打ち込む彼にあっという間に惹かれてしまった凪沙は、ここぞとばかりにアプローチをかけるものの、どうにもいつものようにはいかなくて…
 
 ゲレンデで恋に落ちた相手は、今までの男とは違う、無愛想で、でも優しくて、大切なものをしっかり持っている人でした。いわゆる恋愛脳のヒロインと、イケメンだけど硬派な男の子との一冬の恋物語です。いつものようにアプローチをかけていくヒロインに対して、そ創史くんはつれない態度。しかしスノーボード絡みの事になると、本当に嬉しそうに接してきます。初めて本気の"恋"を自覚した凪沙は、限られた時間の中で必死に彼と心通わせようとします。そしてその想いはついに…というような流れ。ただそれだけではなく、ちょっとした山を用意。簡単にハッピーエンドにはさせません。


セツナユキ
「極上王子様」より、不器用男子の開き直り。正直コレにはときめきました。

 
 他の読切り2編を含め、取り立てて目立つ特徴はありません。ただ登場人物には共通点があって、ヒロインはやたら恋愛脳な気がする(3話「ビターBOYカフェ」はそうではなかったですが、「極上王子様」はヒドい)。また男の子は、スマートなイケメンなのに、恋愛に関しては不器用で、女子から誤解されがちという傾向があるように思いました。作者さんの好みなのかはわかりませんが、こういったキャラが好きな読者にとってはまさに天国なんじゃないでしょうか?とはいえ最近はこういうキャラは主流じゃなくなってきていますよね。その辺のギャプはどう埋めていくのでしょうか。いや、あえてこのスタイルを貫いていった方が良いのか。


【オトコ向け度:☆    】
→スイーツ(笑)マンガです。でも少女マンガって本来こういうスタンスで描かれるものですよね。
【私的お薦め度:☆☆   】
→上記の要素に萌えるという方は。オススメ要素は見出しづらいですが、まだ3冊目ですからね。


作品DATA
■著者:真村ミオ
■出版社:小学館
■レーベル:少コミフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi(’07年15号,'08年21号,'09年第2号~5号)
■全1巻
■価格:400円+税

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