このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [オススメ] [新作レビュー] 2009.04.26
hanikamichirdren.jpg箕野希望「はにかみチルドレン」


なぁ…
ウチ…
好きな人ができたかもしれん   



■表題作ほか読切り2編を収録。
 高校に入学して早1か月。新しい環境にも慣れ、そろそろ周りも恋愛に色めき立つころ。優子も、高校生活を楽しく送っている。しかしひとつだけ問題が。それは、男の子が少し苦手だということ。そんな中、親友のエーちゃんが同じクラスの壱山のことを好きだと知る。協力して欲しい。そうエーちゃんに頼まれた優子は、とりあえず隣の席で、壱山と仲の良い佐之尾と仲良くなろうとするけれど…!?
 
 男の子が苦手なヒロインと、女の子が苦手な男子の恋物語です。親友のエーちゃんと壱山は、どちらかというと明るく積極的に人付き合いができるタイプで、その二人に巻き込まれるように優子と佐之尾も話をするように。しかしヒロインは男の子が苦手。それ以上に、佐之尾が女の子を苦手としており、なかなかコミュニケーションを取ることができません。それでも何度か話をするうちに、二人の距離は縮まっていきます。お互い異性が苦手ということで、それぞれが唯一の存在になります。また、異性慣れしていないということで、距離感の取り方がわからずにアタフタする様子や、直接感情を表せないので、態度や行動で頑張ろうとする様子はとても微笑ましいです。


はにかみチルドレン
「男の子が苦手」という設定があるからこそ、こういう展開になる。


 佐之尾くんはいわゆる「草食系男子」というものに分類されるんじゃないでしょうか。少女マンガの相手役としては非常に珍しいタイプではあるのですが、ナンバーワンよりオンリーワンという風潮は10年ぐらい前からあるので、革新的というワケではありません。とりあえず楽しむべきは、お互いの気持ちがなかなか通じず、切なさとイライラが募るというところ。優しさとか誠実さは痛いほど伝わってくるのですが、一歩踏み出せないという部分はとても苛つきますね。それでもその齟齬は相手のことを真に想ってという所から発生するので、苛つきすらも心地よい…かもしれません。とにかくピュアでウブ。そこは非常に好印象。
 
 やはり草食系男子は、強い周りのサポートや、積極的なお相手に見初められるかしないと、なかなか恋愛できないのだな、と。今作でも、ラストは周囲の助けあってやっとという感じでしたし。なんて草食系男子は得てして、奥ゆかしさ溢れる大人しい女の子が好みだったりするわけで、なかなか上手くいかないものですね。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→ベツコミよりの雰囲気。恋愛モノが好きな男性ならば、十分楽しめると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→表題作もさることながら、同時収録の読切りの出来もなかなか。ピュアで、じれったい恋愛が好きだという方は。


作品DATA
■著者:箕野希望
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!('09年1月号~3月号)
■全1巻
■価格:400円+税

カテゴリ「Cheese!」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。