
なぁ…
ウチ…
好きな人ができたかもしれん
■表題作ほか読切り2編を収録。
高校に入学して早1か月。新しい環境にも慣れ、そろそろ周りも恋愛に色めき立つころ。優子も、高校生活を楽しく送っている。しかしひとつだけ問題が。それは、男の子が少し苦手だということ。そんな中、親友のエーちゃんが同じクラスの壱山のことを好きだと知る。協力して欲しい。そうエーちゃんに頼まれた優子は、とりあえず隣の席で、壱山と仲の良い佐之尾と仲良くなろうとするけれど…!?
男の子が苦手なヒロインと、女の子が苦手な男子の恋物語です。親友のエーちゃんと壱山は、どちらかというと明るく積極的に人付き合いができるタイプで、その二人に巻き込まれるように優子と佐之尾も話をするように。しかしヒロインは男の子が苦手。それ以上に、佐之尾が女の子を苦手としており、なかなかコミュニケーションを取ることができません。それでも何度か話をするうちに、二人の距離は縮まっていきます。お互い異性が苦手ということで、それぞれが唯一の存在になります。また、異性慣れしていないということで、距離感の取り方がわからずにアタフタする様子や、直接感情を表せないので、態度や行動で頑張ろうとする様子はとても微笑ましいです。

「男の子が苦手」という設定があるからこそ、こういう展開になる。
佐之尾くんはいわゆる「草食系男子」というものに分類されるんじゃないでしょうか。少女マンガの相手役としては非常に珍しいタイプではあるのですが、ナンバーワンよりオンリーワンという風潮は10年ぐらい前からあるので、革新的というワケではありません。とりあえず楽しむべきは、お互いの気持ちがなかなか通じず、切なさとイライラが募るというところ。優しさとか誠実さは痛いほど伝わってくるのですが、一歩踏み出せないという部分はとても苛つきますね。それでもその齟齬は相手のことを真に想ってという所から発生するので、苛つきすらも心地よい…かもしれません。とにかくピュアでウブ。そこは非常に好印象。
やはり草食系男子は、強い周りのサポートや、積極的なお相手に見初められるかしないと、なかなか恋愛できないのだな、と。今作でも、ラストは周囲の助けあってやっとという感じでしたし。なんて草食系男子は得てして、奥ゆかしさ溢れる大人しい女の子が好みだったりするわけで、なかなか上手くいかないものですね。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→ベツコミよりの雰囲気。恋愛モノが好きな男性ならば、十分楽しめると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→表題作もさることながら、同時収録の読切りの出来もなかなか。ピュアで、じれったい恋愛が好きだという方は。
作品DATA
■著者:箕野希望
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!('09年1月号~3月号)
■全1巻
■価格:400円+税