
期待と予感
ここから始まる
あたしの未知の世界
■6巻発売しました。
梶ことり、15歳。趣味は乙女ゲーの「ドキメモ」。最後に男子と話したのなんていつだか思い出せない。そんなオタク気質のあることりだが、新しく始まる高校生活には、しっかり胸躍らす。友達はできるだろうか…期待と不安でいっぱいの中、彼女に積極的に絡んでくる男子がひとり。梶雪斗、同じ名字で隣の席の彼は、クラスでも中心的で、目立つ存在。隣の席で、名字が一緒、さらに「ドキメモ」に熱中している所を見られた過去あり。なんとなく、取っつきにくい存在…けれど何故だか、彼のことで頭が一杯になってしまう…。制御不能のこの想いが、やがて未知の世界の扉を開く…
オタクっ気のあるヒロインと、クラスの中心人物的存在の男の子との、初々しい恋愛を描いたラブコメディです。タイトルは何やら意味深ですが、なんてことはありません、普通の学園初恋物語でございます。「知ってしまった」ってのは「恋心」を知ってしまったということらしいです。さて、お話の方ですが、とにかく恋愛はおろか、人付き合いすら苦手なヒロインが、不器用ながらも恋愛に向き合っていくというお話です。乙女ゲーに熱中し、「ゲーム攻略部」に興味を持つようなヒロインですが、いわゆる典型的な「オタク」キャラというわけではなく、大人しめでコミュニケーションスキルが若干乏しいという位置づけ。それ故少ないながらも友達はおり、一旦馴染んでしまえば会話も余裕と言う感じ。

初恋同士、なかなか思い通りにいきません。
そんな彼女のお相手が、隣の席の梶雪斗。おちゃらけた感じで、金髪という派手目の風貌と、ことりとは似ても似つかないキャラの彼ですが、実は恋愛に関しては超初心者。最初は興味本位でことりに近づいていきますが、やがて彼女を本気で想うようになると、当初あった余裕は一気になくなり、完全な恋愛1年生状態に。そのお互いの初々しさを楽しみましょう。基本的に描いているのはそれだけなので、ありきたりといえばありきたり。しかし、読めば読むほど面白くなっていきます。巻を重ねるごとに味が出て、のめり込んでいけるのは、高い安定感によるものでしょう。中堅からベテランに差し掛かりつつある作者さんの手腕がいかんなく発揮された良作になっています。
また恋愛だけでなく、友情について描いているのも魅力。少女マンガでは、どうしても恋愛に走りがちになり、また友情を描くにしても恋愛絡みという展開が多い中、しっかり友情のみで話を描いてくるというのはさすがです。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→男性向けの作品というワケではないですが、完成度の高さで読めるんじゃないかなぁ、と。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→読み進めるほどに味が出てくる良作。これといった特徴はないものの、高い安定感でそれを克服。とりあえず1巻だけでなく、複数巻での購入をオススメします。
作品DATA
■著者:宮坂香帆
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!('07年4月号~連載中)
■既刊6巻