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2009.04.27
karneval.jpg御巫桃也「カーニヴァル」(1)


「花礫は?」
「え?」
「一緒じゃないと寂しい
花礫優しい」



■3巻発売。
 腕輪だけを手がかりに、生き別れた嘉禄を探す少年・无と、窃盗やスリで日銭を稼ぎ気ままに生きる青年・花礫。无が捕らえられた奇妙な館に、偶然花礫が盗みに入ったことで出会った二人は、罠に嵌められ、犯罪者として治安部に追われることに。そうして逃げ回る二人の目の前に現れたのは、国家防衛最高機関の「輪(サーカス)」のメンバーで   !?
 
 腕輪、そして「輪」という機関を巡る、无と花礫のファンタジーアドベンチャーです。生き別れた嘉禄という男を探す・无。その唯一の手がかりは、腕輪。その腕輪は、国家防衛最高機関「輪」のメンバーしか持つことができないもので、一般人はまず手にすることがない代物。それを売れば高値で取引できるし、また関係者としては出所を突き止めたい。ということで、次々と大人たちの渦巻く陰謀の中に巻き込まれていく无。そんな彼と行動を共にするのが、花礫。最初は腕輪に興味を持って近づいたものの、いつのまにやら抜け出せないまでに深く干渉してしまい、以後无と一緒にいるようになります。そんな彼らを追うのが、「治安部」という部隊。イメージとしては警察かな?そして同時に彼らに興味を持ったのが、「輪」のメンバー・平門。腕輪の事もあるので、「輪」と行動を共にするのが良いと判断した二人は、以降「輪」の平門率いる第弐號艇の面々について回ることになります。


御巫桃也「カーニヴァル」
いつしか花礫も、无にとって大切な存在に。


 鍵を握る少年と、それを狙う組織の存在。そして、少年を守る青年の存在と、いかにも女性向けファンタジーにありがちな役所が揃っています。ストーリー的には、巻数を重ねるごとにその全貌が明らかになっていくというスタイルを取っているので、1巻だけ読んでもなかなか物語を掴みづらい所があります。スタイリッシュな絵に、ミステリアスな話運びと、ファンタジー好きにはたまらない構成なのでしょうが、普通の人はどうなのだろう。実際1巻だけで次に繋げるだけの引きがあるかと言われると、微妙と言わざるを得ません。とはいえ印象的に、しっかり大枠を想い描いてから描いているな、ということが伝わってくるので、拡散して訳分からんまま終わりなんてことはなさそう。ファンタジー好きであれば十分楽しめる内容になっているのではないでしょうか?


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→キャラ的には女性向けのファンタジー。とはいえ男性でも十分楽しめる内容だとは思います。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→構成的に、普段ファンタジーを読まないような人間には易しくないですね。とはいえこういうのが好きな人も少なからずいるわけで。キャラもかわいいです。


作品DATA
■著者:御巫桃也
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(平成19年10月号~連載中)
■既刊3巻

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