
いずれ疎まれる想いなら
いずれ振り払われる手なら
これは
優しさなんかじゃない
■3巻発売。
施設育ちの実虎を、ずっと援助してくれていた謎の人物が、この度里親になってくれるというのだ。新しい生活に胸躍らせていた実虎だったが、迎えにきたのは怪しげな若い男女。そして、連れて行かれた先は、家ではなく、古めかしいビル。そこに里親が待っていたのだが、彼は驚くほど若く、口の悪い青年だった。裕福な家庭で、平穏な生活を…そんな想いは一瞬で崩れさる。加えてそのビルで会社を営んでいるという里親・鼎の思惑で、実虎も社員として働くことに。しかもそこは普通の会社じゃなく、持っているだけで、時には持ち主を化け物に変えてしまうような異質な物を扱う会社だったのだ。どうなる、実虎!?
何やら不思議な商売をする会社の一員として、少年・実虎が奮闘するスタイリッシュアクションファンタジーです。波長次第で、持っている者に変化をもたらす不思議な物品の回収をしている有限会社ラフワーカーズ。その社長を務める鼎が、実虎の里親となります。ラフワーカーズで働いているのは、実虎と社長の他に3人。歳相応に見えないバイトの学生相坂、副社長の陽気なオッサン司馬、そして同じく施設から引き取られた紅一点の寧。それぞれ個性的な面々で、その中に突然放り込まれた実虎は面食らいますが、日々を重ねることで順応。やがて会社の一員として奮闘するようになります。

個性派揃いのラフワーカーズ。彼ら以外にも、個性的なキャラが多数登場する。
ファンタジックなお仕事ものという訳ではありません。11年前にとある出来事が起こったという設定があり、その他の全ての謎は、その設定から派生したものになっています。主人公はロストチルドレンという存在で、その11年前の出来事に深い関係を持っています。そしてそれらの謎が物語の進行と共に明らかになっていくという造りになっていて、さらに謎が謎を呼ぶという展開になっていきます。どういう部分で楽しむのか、というと、スタイリッシュなアクションと、社員たちとの掛け合いといった所でしょうか。メインテーマは「11年前」ではあるのですが、あくまでキャラを楽しみましょうといった感じの造りに思えます(結果的にだとは思いますが)。
イメージとしてはnaked apeの「switch」に似ている感じ。複雑な設定と、スタイリッシュなキャラクター達。そして、その中で奮闘する、ぱっと見弱めの少年。設定が難解…というよりも、詰め込みすぎな感じが。キャラクターにいれ込めない限り、ストーリーを追い続けるのは辛いかもしれません。一旦入り込んじゃうと、むしろそのスタイルが心地良くなるんでしょうけど。またキャラの描き方がある程度決まっているので、見分けがつかないなんてことも。その辺も含め、「switch」に似ているな、と。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→こういう作品の場合、キャラを気に入れるか、究極的には、なりきれるかが重要なのですが、登場するキャラを見るに圧倒的に女性向け。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→評価しづらいんですよね、こういう話は。設定的にも齟齬があるわけではないのですが、親切じゃない。要はどこまでキャラ萌えできるかなんですが。うーむ。
作品DATA
■著者:如月芳親
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUM
■掲載誌:ZERO-SUM(平成19年12月号~連載中)
■既刊3巻