
なぁ はな
俺たちは
たった150年後の満月を
一緒に見ることさえ叶わない
■4巻発売しました。
大悪魔・ビビが、魔界から人間界に居を移して2度目の冬。屋敷の前に赤ん坊が捨てられていた。一時の気まぐれで、その赤ん坊を屋敷に持ち帰り、一緒に暮らすことを決めた。花のような笑顔を見せるその赤ん坊は“はな”と名付けられ、すくすく育ち、あっという間に14年の歳月が。ただの暇つぶしのハズだったのに、今ではなくてはならない存在になっている。そして花のほうも、段々とビビのことが気になり出す年頃に・・・
悪魔と人間の子供の関係を描いた、ハートフルファンタジーです。大悪魔ビビは、悪魔としての高い資質を持ちながら、堅苦しい悪魔の世界にうんざりし、全ての肩書きを捨て人間界に移り住んできたという経緯があります。それゆえ人間界での日々はいわば隠居生活。はなを育てる気になったのも、暇つぶしという認識が強くありました。そして時が経ち14歳になったはな。とにかく明るく育った彼女は、ビビにずっとついて回り、毎日花を持ってきたりと、とにかく良く懐きます。悪魔とはまるで正反対の彼女に、救いを見出しつつも、自分が触れることで枯らしてしまうのではないか…いつしかそんな想いを浮かべるようになったビビは、あえて彼女を遠ざけるように。しかしそれでもビビのことが大好きなはなは、何度退けられても彼の元にかけていきます。

ビビとはな。ここまで可愛らしさが溢れる魅力的なキャラは、なかなかいないんじゃないでしょうか。
一貫して描かれるのは、ふたりの不思議で優しい関係性。ぱっと見親子のような二人ですが、それだけでは捉えきれない関係性を紡ぎ出していきます。その何とも言えない感覚は、見ていてとても温かく、優しい感情を呼び起こします。そんなふたりの他に、屋敷には、付き人のトーニーと、友人のフェルテンという二人の悪魔がいて、話の進行に関わってきます。設定はファンタジーですが、映し出すのは「心」や「関係」といった非常に身近なテーマ。それをこの設定で描き出すってのは、逆に凄いことなんじゃないでしょうか。白泉社だからこそできる芸当なのかな。
とにかくはなのかわいさに尽きるお話。現時点ではまだ親子のラインを保ってはいるものの、段々と恋愛モードにシフトしていっている様に思います。やがて恋愛展開に、というのは1巻時点ですでに示されてはいましたが、その割に進行が遅い。個人的には現状の関係性を保ってもらうのが一番だと思う(というか恋愛展開が想像できない)のですが、どうなるのでしょう。
【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→はなの可愛らしさ。それに尽きます。設定はこのようなファンタジックなものですが、むしろ日常系のお話が好きな方にこそオススメしたいです。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→終わりが想像できない&現状維持で足踏みと、物語としてはあまりよろしくない状況なのかもしれませんが、好きなものは好き。個人的にはむしろ現状維持上等ぐらいに考えています。優しい関係を見て、自分まで優しく幸せな気持ちになれるお話です。
作品DATA
■著者:音久無
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成19年8月号~連載中)
■既刊4巻