
「それがふつうだよ。」
「えっ?」
「女の子なんだから。」
■5巻発売しました。
立花つぼみはちょぴり内気な小学5年生。お母さんが妊娠して、大喜び。そんな中、彼女に訪れたのは初経。友達も、ブラを買ったり、むだ毛が生えてきたり…。いつまでも子供じゃない。心も体もすこしづつ変わっていく年頃。自分の体の変化に、好きな男の子への恋心、それからクラスメイトとの友情…様々な悩みを、つぼみと共に見つめていきましょう
ちゃお、ちゅちゅに関しては基本的にレビューしない方針だったのですけど、たまたま手に入ったのでお送り致します。この「ないしょのつぼみ」という作品、レーベルはちゃおですが、主な連載誌は「小学5年生」。今ネットで軽く調べたんですが、結構な話題作だったんですね。しかも「男性層を中心に爆発的に売れた」と…。そうですか、なんとなく複雑な気分ですよ。
現在5巻まで刊行されていますが、各巻ともにヒロインが異なります。共通しているのは名前がつぼみという所。そんなつぼみちゃんを中心に、性や恋、友情について描いていきます。のっけから「えっちなことって…どーゆーことするの?」なんてフレーズがあり、結構踏み込んでいるのだな、という印象。まぁ、このぐらいのほうがリアル感はあるわな。基本的なスタンスは、女子小学生向けの性教育マンガ。そこに恋愛や友情といったものを絡め、話を展開していきます。性教育とはいっても、授業で使われるような教育然とした感じはまったくなく、あくまで商業誌連載を前提としたクオリティの高い物語が展開されます。

"性"について真っ正面から描く。
ちゃんと「性教育」という要素を踏まえながら、友情・恋愛という肉付けをしっかり行っているのは凄い。しかも、物語としてのクオリティはかなり高いです。こういう真面目なテーマを入れてくると、どうしても教育色が強くなり、退屈な物語が展開されることが多いのですが、それが全くない。それどころか、そういったテーマを入れることで、物語としての幅がさらに広がっているような印象すら受けます。加えてファンタジックな要素まで組み込んできますか。性教育とファンタジーってどう考えても水と油なんですが、見事に融合されています。小学校の授業で訳分からん性教育のビデオ見せるくらいなら、このマンガ図書館にでも置いといたほうがよっぽどためになりそう。
とはいえコレを男性が読むのはどうだろう。作品としてのクオリティは疑う余地はないのですが、これはアウトじゃね、と。なんででしょうね、倫理観含め、非常に良い教育作品となっている同書を、大の男が持っていると倫理的に非常によろしくない印象を受ける。変態という名の紳士…いや完全な変態だよ、まったく。
【オトコ向け度:☆ 】
→いや、男性受けしているのは事実なんでしょうが、これは薦めちゃいけない気が。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→内容が内容だけに、お薦めするのははばかれる気がするのですが、やはりそこは正当に評価せねばならんな、と。素晴らしい作品だとは思います。でも、大の男が所持したときの危なさは「こどものじかん」どころの比じゃない。
作品DATA
■著者:やぶうち優
■出版社:小学館
■レーベル:ちゃおコミックス
■掲載誌:小学四年生,小学五年生
■既刊5巻