
「あなたいったい何者なの…!?」
「メイお嬢様の執事でございます」
■9巻発売。
13歳にして、両親を事故で亡くしてしまったメイ。身よりもなく、施設に行くしか…。そんな事が話されている中、現れたのは一人の執事。柴田理人と名乗るその青年は、メイのことを「お嬢様」と呼び、自分はその執事だという。どうやらメイは大富豪・本郷家の末裔で、正式な跡継ぎらしい。突然のことに事態が飲み込めないメイだったが、次々見せつけられる事実にメイも納得。とりあえず今まで通りの生活を、執事付きで続けることに。しかし、有力者の跡継ぎということから、幾度となく命の危険にさらされる。もう普通の生活はできないと、メイは薦められた聖ルチア学園への入学を決める。しかしそこは想像を超えたとんでもないお嬢様学校で…!?
榮倉奈々、水嶋ヒロ主演でドラマ化された話題作の原作コミックです。両親を事故で亡くし、身寄りがなくなった…かと思いきや、実は有力者の跡継ぎで、という展開。桁違いの有力者の跡継ぎなので、その身が危険にさらされることもしばしば…ということで、セキュリティも万全な学校へ入学することに。そこではお嬢様付きの執事の入寮が許されており、執事がつきっきりで彼女をサポート。そこから愛が…といった所ですかね。とにかく執事との関係を描いたドキドキ展開のラブコメになっております。執事萌え…なんですかね。ちょっと萌えとはズレた所がある気もしますが、そもそも設定がかなりぶっ飛んでいるのでそう感じているだけなのかもしれません。

ドラマとは違い、メイは13歳の中学生という設定。そのため若干幼く描かれています。8巻以降からは高校生に。
どうも個人的に執事ものというのが苦手なんですよね。身分の違い云々ではなく、設定としてまず困難なので、現実世界に留めておくと違和感を感じてしまう。言ってみれば執事という存在自体がファンタジーで、いくら説得力のある舞台を用意したとしても、現実世界でという前提があると意味がないというか。そういった要素を記号で享受する「萌え」という感覚ならば、それだけでも良いのかもしれませんが、全体として見た時に、やはりこれはありえないだろ、と。
そんな中この作品は、上手く舞台設定したな、という印象が。完全に俗世から隔離された環境で、ありえないセレブたちがありえない学園生活を送っている。一応時代設定は"現在"で、ヒロインもそんな現実を生きてきた存在なのですが、この環境を持ってくることで完全なファンタジーになったというか。そのため執事が普通にいて、執事との関係が展開されても全く違和感を感じずに読むことができました。皆が皆そんな感覚で読んでいるとは思わないのですが、個人的にはこの「現実世界からいかに切り離すか」が結構重要なテーマとしてあったので、それを上手いことやってのけた同作は凄いな、と。
【オトコ向け度:☆ 】
→言わずもがな。男性には向かないと思いますが、どうなんでしょ。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→執事との関係だけでなく、学園の面々に関してもしっかり描かれているので、設定を存分に楽しめます。オススメとなるとちょっと微妙なんですけどね。
作品DATA
■著者:宮城理子
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成18年No.11~連載中)
■既刊9巻