
天に伸びるバラのアーチ
はじめて見た時
まるで“天国”だと思ったんです
■グリーン・コーディネーターを目指す茉莉花は、専門学校で園芸の勉強中。この度憧れのグリーンオフィス「HEAVEN」のアルバイトに採用され、気分は俄然盛り上がる。そこで出会ったのが、若手チーフの鉄哉。無愛想でとっても厳しい。けれど一度植物をいじらせると、夢のようなコーディネートを生み出す…。最初は彼にイヤな印象を持っていた茉莉花だったけど、植物に対する真剣さとセンス、そして時折見せる優しさから、だんだん気になる存在になってきて…!?
グリーン・コーディネーターを目指すヒロインが、グリーンオフィスで恋に仕事に奮闘する姿を描いた物語です。憧れのアルバイト先で出会う若手チーフ・鉄哉との恋物語なのですが、序盤はどちらかというとお仕事中心で話が進みます。抜群のセンスと真剣さを見せる鉄哉に、まずはグリーン・コーディネーターとして憧れ、やがて一緒に過ごすうち、男性として惹かれていくようになります。お互い植物第一で不器用なところがあるので、なかなか二人の距離は縮まりません。

恋愛に関してはからっきしの二人。こんな状況でもなかなかラブイベントに発展しません。
なかじ有紀さんは前作の「ZIG★ZAG」でも、男子寮を舞台にしながらフラワーアレンジメント・華道という要素をお話に絡めてきていました。明るく甘めのお話に、さらに花と、それがどうも男子寮メインの学園ライフという設定とミスマッチを起こしている印象がありました。それが魅力ではあるんですが、別に男子メインで進める話でもないんじゃないかな、と。で、今回は女の子が主人公ですよ。また花という要素も、「ZIG★ZAG」に比べ、より重要な位置に来ており、読みやすさは抜群。うん、こういうお話を読みたかったんですよ。なかじ先生の作風+花ならば、やはりこういうヒロインがしっくりきます。恋愛に関しては、2話目で急展開があり驚いたのですが、まぁご愛嬌。ってよく見たら各話2~3年のスパンを置いて描かれているんですね、それならこの展開もある程度仕方ないのかもしれません。
なんてことはないお話なのですが、雰囲気が非常に良く、明るく楽しい気分にさせてくれます。こういう話は読んでいて気持ちよいですね。巻数表示ありませんが、白泉社だし続刊の可能性も…さすがにないか。とはいえ1巻だけでも話はしっかり出来上がっており、満足できる内容になっています。3話構成なのですが展開は別として、仕事→仕事・恋愛→恋愛と、その比重の移り変わりが見事。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→明るい作品が好きな方は。ただなかじ作品は基本女性向けだと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→雰囲気がとても良い作品。1巻完結ですし、読みやすいです。オススメ。
作品DATA
■著者:なかじ有紀
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICSスペシャル
■掲載誌:LaLa(平成16年8月号~平成21年2月号)
■全1巻
■価格:590円+税
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