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2009.05.05
07178775.jpg橘裕「かな、かも。」(1)


「どうしてあたしの味方してくれるの?」
   覚えてない?
俺達ずっと以前に会ってるんだけど」



■4巻発売、完結しました。
 中学時代、あらぬ疑いをかけられイジメに遭い、友達がいなかった由奈。心許せるのは、隣に住む従兄弟の友也だけ。そんなある日、転校してきた神尾兄弟が、なぜか積極的に由奈と仲良くしてくる。女友達はできなかったけれど、由奈を守るナイト2人が、彼女の中学校生活を明るくしてくれた。そして3人は高校へ。高校では、女の子の友達ができるかな…?期待と不安にドキドキしながら、由奈の高校生活がスタートした!!

 他の子より発育が遅く、どんなに見積もっても中学生にしか見えない由奈。そんな彼女を、異常とも言えるほど守るナイトが3人。兄のような存在の従兄・友也、そして中学のとき転校してきた、明るく活発な神尾亨と、冷静沈着な秀一。もちろん全員イケメンですとも。さて彼ら、先ほども述べたように、ヒロイン・由奈に対し異常なほどの執着を持つのですが、それぞれ過去の出来事がその執着の起因となっています。単純に、弱いヒロインを守るナイトに萌えるような作品かと思いきや、実際は過去を絡めた、どちらかというと後ろ暗い展開になっていきます。


かなかも
ナイトの神尾兄弟。といっても血の繋がりはない。


 最後まで読んだ感想を言わせてもらうと、「結局何をしたかったの?」と。序盤は由奈、友也、そして神尾兄弟の過去を物語に組み込み、それを乗り越えていくみたいな所に話を持っていくように見えました。しかし友也に関しては2巻でアッサリ。え、なんじゃそりゃと、肩すかしを食らったような。結局持っていたのは、由奈を守るナイト2人の物語ってこと?でも3人の恋愛だけを描きたかったのであれば、あそこまで後ろ暗くする必要はなかったワケで、結局何を描こうとしていたのか判然としないまま終わってしまいました。明るくもなく、だからといって深いところに行くわけでもなく、回り道して浅いところに着地した印象。つーか登場人物がそろいも揃って普通じゃない。怖いよ、みんな。でもそれすら最後は投げてしまった感じ。そういった要素を組み込むならば、ちゃんと活用して欲しかったな、と個人的には思いました。


【オトコ向け度:☆☆   】
→ロリなヒロインって所に希望の光を見出すか。
【私的お薦め度:☆☆   】
→結局どうしたかったのかわからないという…。物語の体はなしているので、読み進めるのは簡単なのですが、同時にモヤモヤ感が募ります。


作品DATA
■著者:橘裕
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLaDX(平成18年7月号~平成21年1月号)
■全4巻

■購入する→Amazonbk1


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