
あたしのめざすのは海の向こう
いつか絶対
海を渡るピアニストになるの
■7巻発売しました。
時は大正時代。ピアニストを目指す海原ありあは、東京音楽学校予科の入学試験を受ける。彼女の情熱的な演奏は、良くも悪くも周囲の人間を圧倒し、大きな話題を呼んだ。無事試験に合格したありあは、名門・西御門家の夏王に出会う。あったその日になんとなく惹かれあった二人だったが、ある日思わぬ事実を知らされることに…。
音楽の神に愛された少女の半生を描いた、大正ロマン作品です。ヒロインありあは、その並々ならぬ音楽の才能で、すぐに頭角をあらわします。そんな中、知らされたのは、自分が名門西御門家の娘であるといこと。とはいえ彼女は本妻の娘ではなく、新橋の芸者の娘。その噂はたちまち広がり、奇異の目で見られるようになります。しかし気の強い彼女はそんなことではめげません。そんな彼女に、講師の白雪や、兄の夏王は惹かれていくように。音楽に恋愛、そして友情、ありあの激動の青春時代を一緒に追いかけてみましょう。

こんな会話も、この時代、この身分だからこそ違和感を感じず読むことができる。この時代ならではのロマンスをお楽しみください。
まさかの兄妹宣告に、教師との恋愛。ライバルからの嫌がらせに、最愛の人の死。そして幼少時代の壮絶な体験とトラウマ。とにかく昼ドラ的な要素が目一杯詰め込まれています。これは時代故にってところなのでしょうか?そんな時代を生き抜くヒロインは、当然芯が強いキャラとして描かれます。まぁ設定、キャラは良いんですよ。ベテランの先生ですし、しっかりまとめあげてくるでしょうし。しかしながら展開がむちゃくちゃ早い。1巻で上記の要素のほとんどが登場。後はこれを紐解いていくだけかと思いきや、さらなる展開が用意されています。大正っていうと優雅なイメージがあったのですが、この作品は優雅という感じはなく、めくるめく怒濤の展開で話が進んでいきます。
そうなると、どうしても「アリア」という言葉とのギャップを感じずにはいられません。アリアというと、落ち着いていて、華麗で、抒情的なイメージ。しかしこのストーリーとヒロインは、それとは似ても似つかないわけで、これは作者さんの意図なのかな、と。でも声楽に関して言えば、詠唱全般にアリアという言葉が用いられるので結果的に問題無いのか(ヒロインありあは、ピアノから声楽に転向し海外へ出ていく)。でもやっぱりアリアって、バッハのイメージが強いじゃないですか、にわかクラシック好きとしては。「G線上のアリア」とか「ゴルトベルク変奏曲」とか、落ち着きの最上位みたいな。天野こずえの「ARIA」もあんな雰囲気ですし。
【オトコ向け度:☆ 】
→これは男性にはキツいのでは。要素が要素だけに。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→物語としてはちゃんと形作られていますが、その怒濤の展開についていけるかという所が楽しめるかどうかのポイント。取りようによってはものすごく濃いですが、逆に詰め込みすぎなんて思う方も少なからずいると思われ。様々な設定を用いて、ちゃんと作られてますが、決して上手いとは思わないです。
作品DATA
■著者:赤石路代
■出版社:小学館
■レーベル:flowersフラワーコミックス
■掲載誌:flowers(2006年6月号~連載中)
■既刊7巻
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