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2009.05.15
jyoounohoukago.jpgたちばな梓「女王の放課後」(1)


あたしには野望がある
まずはプチBiBiでカリスマ読者モデルになって
滝クリみたいなキャスターになって
どっかの大富豪つかまえてヒルトン姉妹を超え
セレブ界の頂点に立つ
それがあたしの人生設計



■3巻発売しました。
 女子高生・龍崎麗奈には壮大な人生設計がある。その容姿を生かし、カリスマ読モ→報道キャスター→セレブ界の頂点という道を歩むこと。そのための努力は惜しまない。使えるものは使うし、男に媚売るのも余裕。そんな彼女の進む道は、いつだって険しい。けれど、いまのところ順調に進んできている。時に仔兎のような愛くるしさを見せ、時に狼のごとき知略を駆使し、麗奈は華麗に強かに闘い続ける!それが彼女の女王道だから!

 壮大な野望を達成すべく、色々な敵と日々闘い続ける女子高生を描いたコメディです。ヒロインの麗奈は、その野望に見合うだけの容姿と、それを達成するだけの強かさを持ち合わせています。それゆえに彼女を良く思わない者もいるわけで、何かにつけてトラブルに巻き込まれます。普通であれば、くじけてしまう。しかし、野望のためならどんな困難でも乗り越えられると、芯の通った強さで、それを撥ね除けていきます。毎回何かしらのトラブルを用意し、それを豪腕で解決していくという、読切りスタイル。言うなれば、少女マンガ版水戸黄門といった感じ。


女王の放課後
ヒロインには芯がある。だからこそカッコいいし、爽快なストーリーに。


 講談社は、女子高生のリアル(白泉社のファンタジックな設定の対極という意味で)を押し出した話に一日の長があります。この作品もその最たる例だと言えるんじゃないでしょうか。この女子高生対女子高生みたいな構図を、スッキリと描く感じは、他のレーベルではなかなか見られません。白泉社はあんまり描かないし、小学館はドロドロになる。一種、完全なネタ的悪役として描かれているからこそ、気負わずに読めるんでしょうね。一応話は、ヒロイン・麗奈のサクセスストーリーを追いかけるという形で進行します。とはいえメインはそちらにはなく、その中で直面するトラブルを、ヒロインが華麗にカッコよく解決するという、水戸黄門的な部分こそが重要。

 猫かぶりなヒロインですが、曲がったことは大嫌いと、親しみやすいキャラになっています。一種のスイッチガールだとは思いますが、あちらに比べ、だらしない部分を見せていない分、男性にも親しみが持てるんじゃないでしょうか?またヒーロー的に描かれますが、正義感を振りかざすわけではなく、妙に打算的で、自分本位な所も好印象。ちょっとしたときに読みたいコメディですね。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→テーマ自体は女の子向けですが、結構読みやすいんじゃないでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→話自体に深みはありません。でも別にそれがメインではないので、特に問題はナシ。読みやすいコメディになっています。


作品DATA
■著者:たちばな梓
■出版社:講談社
■レーベル:KC別フレ
■掲載誌:別フレ(2007年7月号~連載中)
■既刊3巻

■購入する→Amazonbk1


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