
どうやらあたしは
死んだらしい
花の盛りに
死んだらしい
■花吐き病。嘔吐中枢花被性疾患の通称。片想いをこじらせると、花を吐く、ただそれだけの奇病で、吐かれた花に触れることで感染する。潜伏と流行を繰り返し、室町時代から現代まで繰り返し続いている。症状が症状なだけに、健康上の被害はなくとも、普段の生活に支障を来してしまう。いまだ有効な治療法は見つかっておらず、両想いによってのみ完治する。
このお話は、そんな花吐き病に罹った者たちと、病について研究する若手教授(准教授?)の日々を綴った、笑いあり、感動ありのファンタジーコメディです。花吐き病には、男女関係なく罹り、その治療法は両想いになることだけ。吐かれた花に触れることでのみ感染し、恋を意識しなければ、発病することはありません。設定だけ見ると、ファンタジックな設定を用いた、耽美で切ない物語のように思われるかもしれませんが、実際は違います。たしかに耽美さは垣間見えますが、本質はコメディ。花を吐くといっても、そんな綺麗なものじゃなく、「ゲロ」的な感覚で描かれます(花自体はとってもキレイですが)。そんな花吐き病に罹った人たちと、病を研究する変わり者のイケメン教授、そして彼をとりまく面々を登場させ、話を動かします。

この作品のメインキャラ・種堂教授。恋に関する病について研究しているが、彼自身は恋をしたことがない。
昨年「少女漫画」
特殊な病という設定のみでファンタジーといっているわけではなく、他にもファンタジックな要素が。まぁ結局は花吐き病にかかってくるんですが、この病の元となる妖精のような存在が、最初からずっと描かれ続けます。妖精の姿は見えず、病に罹った者だけに声が聞こえるようになります。最終的には、先の教授と、この妖精を絡めてまとめに持っていくと思うのですが、果たしてどうなることやら。精神的な部分によって発現し、妖精の存在があるとうことで、浅野いにおの「素晴らしい世界」に若干イメージが被りました。とはいえ話の内容自体は全く別ですので、よろしくお願いします。他にも嬉しいと花が咲くという、群青さんの「橙星」なんて作品もありましたが、そんなファンシーなもんじゃありません。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→お話自体は女性が好きそうな内容。とはいえ少女マンガ的な甘さはなく、良い意味でサッパリしているので、男性にも読みやすいんじゃないでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→設定もさることながら、日常を描いたコメディに落とし込んでいるところはさすが。今後の展開も気になりますし、これはなかなか面白いんじゃないでしょうか。
作品DATA
■著者:松田奈緒子
■出版社:講談社
■レーベル:ワイドKC Kiss
■掲載誌:Kiss(2008年No.16~連載中)
■既刊1巻
■価格:819円+税
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