
大好きだった初恋の男の子が
オカマになって
帰ってきた。
■2巻発売、完結しました。
故郷で共に育った、幼なじみのいつきちゃん。いじめられっこだったヒナのことを、いつもなぐさめてくれた。それは間違いなくヒナの初恋で、そのときかけてくれた「お嫁にもらってあげる」という言葉は、今でも大事に大事に胸の中にしまってある。それから13年、あのいつきちゃんが帰ってきた!と思ったら、なぜだか絶世の美女になっていて…。昔の面影は皆無で、むしろちょっと毒舌になったいつきちゃんに、最初は幻滅したヒナだったけど、気がつけば、なんだか胸がときめいていて…。究極のアンバランスラブ、発進!
初恋のあの人は、オカマになってました。衝撃の再会を果たしたいつきくんとヒナ。女(まだ付いてるけど)になったいつきくんは、親に勘当されて、逃げるように田舎の祖母の家に。ヒナの大切にしていた初恋の思い出は、みるみる崩れ去っていきます。それでもいつきくんは、多少(人として)逞しくなったけれど、面倒見のよさを見せ、ヒナのことを何かにつけて守ってくれます。それによりヒナの恋心は再燃。決して叶うことのない想いを抱えながら、いつきくんと対峙していくことになります。

やっぱりいつきくんは、いつきくんだった。
見ためは美女で、良い男には目がない、ちょっと毒舌気味で、さっぱりとした性格、そして、多少のことではへこたれない。そんな逞しい女(?)になって帰ってきたいつきくんに、ひなは思わず恋してしまうわけですが、それは初恋のリソース(自分を助けてくれた)を呼び起こさせる出来事が再び起こったため。そうなるともうしょうがない。とはいえいつきくんは完全にオンナなわけですから、この想いが叶うことはありません。結局の所、この想いにどう決着をつけるか、というところに話はいきます。とはいえ設定が設定だけに、話はオカマネタを混ぜ込んだコメディ展開で、基本的には明るく進みます。そんな中、ふいに落とし込んでくる、気持ちを切に表したモノローグや台詞が、妙に胸に響きます。これは作者さんのウデでしょうね、すごい。コメディを描きつつも、伝える所はしっかり伝える。そういうの、私は大好きです。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→結構読みやすいと思います。甘々じゃないですし、コメディも良い感じ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→どうしようか迷ったのですが、2巻できちっと締めてきたことを評価。気持ちに決着を、というところだけなので、このぐらいでちょうど良いのです。変な設定ですが、描いているのは誰しもが抱えるような気持ち。擬似的な百合を感じた部分もあるのかもしれません。次作も楽しみですね。
作品DATA
■著者:那波マオ
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート(平成20年7月号~平成21年5月号)
■全2巻
■価格:各400円+税
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