
バイバイことり……
バイバイ アタシ
■2巻発売です。
いたずらっ子の「のばら」と、良い子を絵に描いたような「ことり」。見ためはそっくりだけど、性格は全く違う双子の姉妹。小学生の頃、のばらが川で溺れたところを助けようとして、父親が亡くなり、以来のばらは祖母の家で、ことりは母と共に生活するようになっていた。それから数年、高校生になったのばらとことりは、時折入れ替わり、お互いの生活を楽しむようになっていた。そして、いつものように入れ替わっていた最中、ことりが事件に巻き込まれ、殺されてしまう。絶望にうちひしがれた母を見たのばらは、入れ替わっているという真実を打ち明けられず、そのままことりとして生きていくことを決める…
「いのち」の大切さを説くド直球感動ものと見せかけて…。まずは父の死からこの物語が始まります。忠告を聞かずに川に入り溺れてしまったのばらを助けようとしたところ、自分が激流に飲み込まれ、命を落としてしまいます。最愛の人を失った母は、思わずその感情をのばらにぶつけてしまいます。結果的に気まずくなり、家を出て祖母と暮らすことにします。それから数年、それでも母が恋しいのばらは、時折双子の姉・ことりと入れ替わり、母親に会いにいっていました。そんな最中に起こった、ことりの殺害事件。入れ替わったままだったので、殺されたのはのばらと認定されてしまいます。自分とことりを天秤にかけ、落ち込む母親を支えられるのはことりだと考えたのばらは、入れ替わったままことりとして生きていくことを決めます。1巻はそこで終了。2巻以降、殺人事件を巡るストーリーが展開されていきます。

入れ替わりの事実を唯一知っている優羽。彼の存在があることで、ちょっとした恋愛要素も追加される。
こんなタイトルなので、お涙ちょうだいの感動物語かと思いきや、フィクション臭全開のお話で驚きました。入れ替わりがバレないなんてそんなことあるまいとは思うものの、一晩にして母親の髪が真っ白になったりと、基本的にはリアリティ追求じゃないのね。メインとなるのはタイトル通り「いのち」についてなのですが、入れ替わりという設定が組み込まれることで、2度美味しい構成に。またそのことを知っている人物(のばらの彼氏)を用意し、ドラマチックな空気感に拍車をかける形になります。これをどう取るべきか。個人的にはこの設定は面白いと思うのですが、なぜこの設定を組み込んだのかと聞かれると、確かに疑問符はつきます。
展開が劇的で、感情の揺れ動きも激しいですが、フィクション臭を強く出すことで上手くバランスが取れています。ただこのストーリーでデザート連載ですか。別フレで丁度、下手したらなかよしに載っててもいいんじゃない?という感じがするのですが、そうなるとケータイ小説臭さが出てしまうのか。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→入れ替わりの部分は結構楽しめるのでは。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→ストレートなタイトルの割に、内容は良くわからない状況。オススメとなると厳しいですが、このある種カオスな展開は、取りようによっては面白い。
作品DATA
■著者:ももち麗子
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート(平成20年9月号~連載中)
■既刊2巻
■購入する→Amazon