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Tag [新作レビュー] 2009.05.25
32252469.jpg結城光流/松尾葉月「暁の誓約」(1)


だからファリース見ててくれ
俺達は決して諦めない
あの暁の誓約を必ず果たしてみせる



■邪神・フィオールに狙われし土地・エリン。その土地を、フィオールの魔の手から守る役目を負っているのが、オグマ騎士団である。その騎士団の見習い騎士・クールと、見習い魔術師・セイ。彼らは「対」の存在として、魔物を倒すため日々鍛錬している。そして、ついに待ちに待った初任務にむかったのだが…!?

 オトコでも読める少女マンガもついに角川あすかコミックスのレビューに進出いたします!…って単純に見落としてて、「なんでやらないんですか?」と指摘を受けたからなんですが、すみません。さてこちらのお話、バリバリのファンタジー作品です。主人公は騎士見習いのクール。そしてその相棒・セイ。騎士と魔術師がパートナーを組んで闘いに臨むのですが、彼らは身寄りがなく、幼い頃に騎士団に引き取られたという過去があり、お互い深い絆で結ばれています。そんな彼らの目標は、過去にお世話になった人の仇を取る事。その心に刻んだ意思を「誓約(ゲッシュ)」と呼びます。


暁の誓約
表紙だと大人っぽく見えますが、作中では全力少年ですよ。セイはクールですけど。


 主要人物はこの二人+宿敵(と思しき男)と、関係性はスッキリ。脇役もそれぞれ分かりやすいポジションが与えられています。ただ流れ的にスマートじゃない。現在の二人の関係をまず描くのかと思いきや、早々に別行動を始めるし、物語の全体像や背景に関する説明も小出しで来たり、過去の回想も突然挿入されたりと全体的にチグハグな感が。導入にあれだけド派手というかアクションを用いたのだから、その後はもう少し落ち着いた流れでペースを作っても良かったんじゃないかなぁ、と。一応物語の意味というか、RPGでいうイベントの発生が起きている経緯は理解できるんですが、その有り余るハイテンション・緊迫感に読み手が追いつけない感じを受けました。設定が面白そうなだけにちょっと残念。
 
 2人セットで萌えを喚起ってのは上手ですよね。一応関係性は完成しており、イベントの度にその絆を再確認という形になるのでしょう。ただ過去に自分の「居場所」を求めて騎士団に引き取ってもらったという設定があるのだから、1から関係が築かれるのを描いても面白いんじゃないかなって気も。あ、でもこれは後々回想シーンで描かれていくのか。


【オトコ向け度:☆☆   】
→どうなんでしょう。ファンタジー好きならいけないこともないとは思うのですが、わざわざ読むほどでも…。
【私的お薦め度:☆☆   】
→設定の割に読みづらかったです。これは原作からそうなのか、それとも絵師さんの影響なのか…。


作品DATA
■著者:結城光流/松尾葉月
■出版社:角川書店
■レーベル:あすかコミックスDX
■掲載誌:ビーンズエース(2008年Vol.16~連載中)
■既刊1巻
■価格:540円+税

■購入する→Amazonbk1


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