
君達は特刑隊員である前に人間だ
法や規制だけにとらわれず
心でいつも考えていて欲しい
外の奴らに
“人形”なんて呼ばせんじゃねぇ
■7巻発売しました。
舞台は、近未来の日本に似た第三東都帝国。10年前国籍の入り乱れたこの国では年々凶悪犯罪が激化。丁度その頃、裁判の迅速化と終身刑の導入がされた時期で、刑務所はパンク寸前に。そんな中生まれたのが「ROT法」である。裁判の合理化を意味するこの法律は、容疑者不在のまま裁判を行い、死刑判決を言い渡し、その刑を執行する事ができるという条項を定めている。それに伴い、死刑判決後、迅速に刑を執り行う特殊部隊「特別死刑執行刑務官部隊」、通称“特刑”が組織された。死刑囚を、何のためらいもなく殺す彼らを、人々は“人形”と呼び恐れている。そして今日もまた、特刑に死刑執行の任務が…
死刑囚(実際には捕まってないので囚ってのはおかしいかもしれませんが)を見つけ出し捕まえ、その場で殺す死刑執行人部隊「特刑」の面々を描いた、スタイリッシュアクションです。特刑はそれぞれ3人一組で行動し、刑の執行に全力をあげます。選出されるメンバーは選りすぐりのエリート。的確な判断力に、類稀な身体能力、そして人を殺すのに躊躇しない、強い心を持ち合わせています。この物語では、そんな「特刑」でも1番エリート「第一部隊」のメンバーを中心に描いていきます。猟奇殺人者に、反特刑の組織、また警察も絡んできて、状況は複雑。事件発生から解決までをスタイリッシュに描きつつ、特刑のメンバーそれぞれの過去・心情をあぶり出していきます。

naked apeさんの作品って、結構(ダークな)子供が登場することが多い気がするのですが、これって好みなんですかね?
naked apeさんの作品では、麻薬取り締まり組織を描いた「switch」を知っているという方も多いでしょう。今作は「switch」に比べ少しファンタジックで、近未来的な舞台設定です。容疑者不在のまま死刑判決を出し、捕まえればその場で処刑。設定だけ見ればディストピアものですが、そういった流れには動いていきません。あくまで描くのはその設定の中に生きる、「特刑」の面々について。メンバーそれぞれが過去に何かを背負っており、職務を遂行していく中でその背景が見えてきます。また仕事での人間関係も描き出します。各部署のメンバー登場や、警察との対立など、構図自体は「switch」と変わらないのかな。
結局キャラ重視なので、設定から「大きな物語を!」と期待してはいけません。舞台設定自体はわかりやすいので、同じ系統(猟奇的殺人とか)の「多重人格探偵サイコ」よりも読みやすいんじゃないでしょうか。またこの作者さんはタッチが独特なので、例によってキャラの見分けがつきづらいです。それに加え、登場人物が結構出てくるので、ちょっとどうにかならんかな、と。
【オトコ向け度:☆ 】
→設定でピンときた方は。ただ帰結するところは個々の「心」の部分だと思うので、男キャラ達に感情移入できるかがひとつのポイントになりそうです。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→naked ape作品は長期化する傾向にある気がする。今作もどう着地するかわからんので。ただ「switch」より個人的には好きですけど。
作品DATA
■著者:naked ape
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(平成17年4月号~連載中)
■既刊7巻
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