このエントリーをはてなブックマークに追加
2009.05.26
plusc.jpg遊行寺たま「+C sword and cornett」(1)


キミがぼくに歌をくれるなら
ぼくはキミのために力を尽くす
キミは
どうしたいの?



■2巻発売しました。
 かつてこの地にあった闇を振り払い、人々を解放した英雄。彼が国を興し、子孫が国王として君臨し、平穏な日々が過ぎていた最中、後継者が不穏な死を遂げる。国王の妾の息子で、出世とは無縁に疎まれて育ったベルカは、心優しい兄の死を受け入れられずにいた。そんなある日、兄の死が、国の政治を司る元老院の陰謀によるものだと知り…!?

 有能な後継者の死が、元老院の陰謀であると知ったベルカとオルセリート(第2の後継者)。力を持たない彼らは、さらに元老院の陰謀に嵌められてしまいます。オルセリートは捕らえられ、元老院の言いなりの、飾りの王子としてのポジションが。しかし彼はそれを拒否。あくまで抵抗し続けます。一方の主人公・ベルカはその出自から、アクシデントを装って崖下に落とされてしまいます。結局通りすがりの詩人・エーコに助けられ、一命をとりとめます。その後オルセリートとの再会、そして元老院の陰謀の阻止を目指し町に向かうのですが、町ではベルカに手配書が出され、近づくにも近付けない状態。このままでは見つかって殺されてしまう。状況を判断したエーコとベルカは、とりあえず元老の配下にあるサナを離れ、体勢を立て直すため、旅に出ることにします。


プラスC
見ての通りなキャラ・エーコ。のらりくらり躱す感じは、「ツバサ」のファイっぽい。


 なぜベルカにエーコがついてくるのか。その理由は彼の生き様(=歌)を見たいから。最初は嫌がっていたベルカでしたが、妾の子で疎まれて育ったとはいえ、そこは王族の子。世間一般の感覚を持っていない彼は、下界で自分ひとりで生きていくことに危機感を覚え、エーコがついてくる事を承諾します。旅をしながら、最終的にはオルセリートとの再会→元老院討伐みたいな流れにいくのでしょうが、そこに至るまでの過程がどうなるか、興味があります。
 
 登場人物の配置が分かりやすく、話も淀みなく進んでいます。RPGで言うなら、着々とイベントをクリアしている感じ。話の運び方も上手で、非常に読みやすいです。絵も一迅社らしくキレイ。このレーベルの系統が好きな方であれば、買って損することはまずないでしょう。目新しさや、強烈な引きはないものの、安定して楽しむ事ができる良作。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→女要素薄めも、女装でカバー…できてるか?男性にも読みやすい造りになっていると思いますよ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→突き抜ける感はないものの、安定して楽しむ事が出来ます。買って損って事はないでしょう。今後の展開次第では、オススメも考えないと…。


作品DATA
■著者:遊行寺たま
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUM
■掲載誌:ZERO-SUM(平成20年6月号~連載中)
■既刊2巻
■価格:各552円+税

■購入する→Amazonbk1


カテゴリ「ZERO-SUM」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。