このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2009.05.29
koihirari.jpg蜜樹みこ「恋、ひらり」(1)


まだ今時
あんたみたいな子いるんだ
絶滅したかと思ってた



■色気より食い気の純恋は、新しい学校への転入を期に、初カレシゲットを目論んでいた。年明けの転入を控えた大晦日の雪の夜、純恋が出会ったのは、不思議でとてもカッコいい男の子。彼に連れられるように、何故か一緒に初詣に行き、かんざしまで買ってもらい、別れた。一夜限りの出会いだったが、彼のことがなかなか頭を離れてくれない。あれは一夜限りの思い出なんだから・・・そう自分に言い聞かせ、新しい学校に乗り込むと、そこにはなんと雪の日の彼が。彼の名前は佳月、日本舞踊・都流宗家の長男で、天才と謳われている期待のホープだった!

 ドジでちょっと天然バカな女子高生と、日本舞踊界の期待の跡継ぎのを描いたラブコメです。大晦日の夜、運命的な出会いを果たした二人は、やがて学校で再会。しかし自由奔放な佳月に、純恋は軽い嫌悪感を抱きます。それでもアプローチをしてくる佳月に、徐々に心開いて…という感じ。1巻終わりで早くもくっつきますが、お相手は日本舞踊の宗家ですから、越えるべき障害はたくさんあります。とりあえず家人、そして当然のように許嫁が。ヒロインが少しおバカなので、いかに佳月とのカップリングに説得力を持たせるか、というのがこれからの課題になりそう。


恋、ひらり
うおっまぶしっ!この爽やかさは大きな武器。


 設定も展開も、特に目新しい点はありません。しかしこの作品、結構読める。というのも、恐らくお相手である佳月の存在が大きいのではないのかなぁ、と。少コミというと、登場するヒーローの多くが強引系。なんて言うんですかね?肉食系?まぁ男からすると「ねーよ(笑)」と言いたくなるようなキャラが多いんですが、佳月くんはそうしたテイストは残しつつも、ちょっと変わった特徴(爽やか&上品)を持ち合わせています。
 
 爽やかさと上品さというのは、なかなか出そうと思って出せるものではありません。一応積極策に打って出るシーンもあるのですが、ポイントポイントで爽やかさや上品さを組み込んでくるので、嫌悪感を抱かせない。男でも読めるとは言いませんが、向かないだろうとは思いません。何が違うんでしょう。距離感?それともキャラの描き方の問題?


【オトコ向け度:☆☆   】
→佳月くんは良い。ただマイナスがゼロになるぐらいの効果であって、プラスに転じるところまではいかないか。
【私的お薦め度:☆☆   】
→キャラは評価しますが、ストーリー自体は非常に凡庸。もうちょっと変わったキャラとか投入させても良かったかな、と。ただ完成度自体は高いと思います。


作品DATA
■著者:蜜樹みこ
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第1号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1


カテゴリ「Sho-Comi」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。