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2009.05.31
hakusyakutoyousei.jpg香魚子「伯爵と妖精」(1)


あたしはただ
知りたいだけよ
あなたのなにが嘘で
なにが真実なのか



■2巻発売しました。
 19世紀イギリス。妖精を見ることができるリディアは、フェアリードクターとして修行中の身。しかし、妖精を見ることが出来ない周囲の人々には、変人扱いされている。そんなある日、大学教授をしている父からロンドンへ呼び出しの手紙が。意気揚々とロンドンへ向かうが、その途中何者かに身柄を拘束され、そのまま誘拐されてしまう。彼女をさらったのは、妖精国の領主・青騎士伯爵の末裔を名乗るエドガーという男。何やら、伝説となっている宝剣を探し出すのに、フェアリードクターの力が必要なのだという。どうすることもできないリディアは、とりあえず大人しく彼についていくことにするが…
 
 人気小説のコミカライズ作品。妖精と宝剣をめぐるファンタジー小説で、昨年アニメ化もされています(→公式HP)。妖精を見ることができるリディアと、公爵家の末裔・エドガーを中心に、妖精絡みの事件と、エドガーの過去絡みの出来事を乗り越え、結ばれていくというお話(になると思う)。舞台は19世紀のイギリスと、産業革命後の世界が舞台。故に妖精というファンタジックな要素を扱いながらも、その舞台は非常に現代的で、そのミスマッチ感が話に広がりと面白みを加えます。原作小説は20巻近く刊行されており、これを全てカバーするとなると、一体どれほどかかるのだろうと若干心配になったり。


妖精と伯爵
新聞を読むニコ。ネコじゃありません、妖精です。この絵が妙にツボ。


 ファンタジー作品ですが、描くのは人間関係が主で、妖精はあくまでスパイスという感じ。エドガーをとりまく因縁中心に話が進みますが、最終的にはリディアとエドガーのラブロマンスというところに落ち着きます(多分)。ただし序盤は恋愛要素は薄く、あくまで人としての絆を深めるという感じ。ま、それぐらいの方が個人的には好きなんですけどね。
 
 原作小説の表紙と違い、かなり線が細いです。よい意味でスマート。ヒロインのリディアもこちらの方が好きですね。って原作はほとんど読んだ事無いので、ああだこうだ言えないのですが…。ただこの世界感ならこちらの方がマッチするな、と勝手に思っているわけです、ハイ。一つのシリーズを1~2巻ごとでまとめてくるのでしょうか。今回のシリーズは2巻で完結。買うのなら2冊同時に買うとよいかもしれません。


【オトコ向け度:☆☆   】
→基本は女性向けでしょうが、毛嫌いするような要素もないですし、気になる方は読んでみてはいかがでしょう。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→原作は大人気。コミックも良い出来だと思います。ただシリーズごとの完結があるとはいえ、先が長いのはわかっているので、それを我慢できるかどうかが大切。


作品DATA
■著者:香魚子/谷瑞恵
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:ザマーガレット(平成20年10月号~連載中)
■既刊2巻
■価格:各400円+税

■購入する→Amazonbk1


カテゴリ「別冊マーガレット」コメント (4)トラックバック(0)TOP▲
コメント

『執事よりも伯爵』とか『読むのは貴族の義務』などの帯のアオリ文句に嫌悪感を覚えてなかなか買えなかったのですが、『さよなら私たち』が◎だったので3巻まとめ買いしました。

読んでよかった、すばらしい。
ちょっと昔のヨーロッパという舞台設定にファンタジー、読ませるストーリー、香魚子さんの繊細な絵柄、ヒロインはかわいいし、すべてがど真ん中です。

原作も相当よいのでしょうね。
20巻近く刊行されているとのことですが、私はマンガで読みたいので、香魚子さんの筆を地道に待つことにします。

その間に絵柄が変わってしまうのが心配ですけどね・・・。
From: しろくま * 2010/05/11 21:10 * URL * [Edit] *  top↑
このコメントは管理者の承認待ちです
From:  * 2010/05/11 21:20 *  * [Edit] *  top↑
「伯爵と妖精」は原作大人気みたいですね。
原作ファンの方からの評価もそれなりに高いみたいです。

個人的には香魚子先生のオリジナルももっと読みたい!なんて思っているのですが、こちらはこちらで楽しめているので現状満足だったりします。

ご指摘ありがとうございました。
修正させていただきました。
From: いづき * 2010/05/11 23:31 * URL * [Edit] *  top↑
今、私は、4巻までもっています。
From: アイズ * 2011/11/30 13:48 * URL * [Edit] *  top↑

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