
それなら
女優になったら勝てますか?
■5巻発売しました。
小野塚ゆらは、父親に音楽家、母親に大女優を持つ、スパーセレブな家庭の1人娘。誰もが羨むような境遇だが、父親はNY暮らしで、母親は仕事が忙しくて家に帰ってこない。毎日寂しい想いをしてるゆらにとって、幼なじみの真佑だけが心の支え。そんなある日、両親が離婚すると知らされる。自分は捨てられた。そう思ったゆらは、いてもたってもいられず、真佑のもとへ。しかし真佑が、母の紫と関係を持っていたことを知り、絶望のどん底へ突き落とされる。そんな彼女を救ったのは、父親のマネージャーをしている溝呂木だった。「僕のものになりませんか」彼のこの一言で、ゆらの運命は大きく動きはじめる…
世界的な音楽家と大女優の娘が、母への復讐のために芸能界へ飛び込み、スターダムにのしあがっていくというお話です。地味で引っ込み思案なヒロインですが、持っている資質は一級品。敏腕マネージャーのバックアップによって、徐々にその才能を開花させていきます。もちろん恋愛方面のお話も有り。ゆらの父を崇拝する人気アーティスト・南谷Q太と、その弟で人気アイドルグループのメンバー・ハルカが恋愛戦線に絡んできます。ストーリーのきっかけは母への復讐ですが、その要素は話の進行とともに徐々に薄らいできて、ヒロイン・ゆらが、不器用ながら懸命に頑張り、同時に男性陣からのアプローチにてんやわんやするというお話になってきます。基本的にこのキャラだと、モテたり人気が出たりするのに疑問符が付くのですが、両親がスゴい設定なので、この展開も納得(親の七光りではなく、才能があるという意味で)。

ハルカ…。気がつけばこんなキャラに。そんな君が大好きです。
芸能界でのサクセスストーリーというと、最近では「スキップビート!」(→レビュー)が人気ですが、ヒロインの性質は真逆です。積極的で貪欲で、色恋関係にニブいキョーコに対し、消極的で貧欲、恋愛に流されるところありのゆら。まぁゆらの方が普通って感じがして良いですけどね。またストーリー的には、非常にオーソドックス。ネタ全開なキャラも登場しないですし、芸能界の厳しさや汚さを出すってこともしません。上手いこと少女マンガ用にデフォルメしているな、という感じ。芸能界よりも、人間関係・恋愛関係を描くことがメインなので、舞台設定はこのくらいで丁度よいのです。
これといって特徴のないストーリーではありますが、話がものすごくわかりやすく、キャラもそれぞれ立っているので、楽しんで読むことができます。さすが実績のある作家さんは違うな、という感じ。とにかく読みやすい。その要因は、ストーリー展開なのか、絵なのか、キャラ作りなのか…いや、全部か?クセがないというかね。
溝呂木さんは恋愛戦線に参戦してくるんでしょうか?4巻でフラグ臭いシーンがありましたが、5巻でも相変わらずの状態。うーむ、個人的には溝呂木さんにはあくまでマネージャーとしての立ち位置から動かないで欲しいんですが。またQ太は、今までのところ、なんとか変わってる人(アーティストゆえに)のラインが保たれていたのですが、ついに陥落し始めてます。こうなると後は怖いぞ~。それとハルカは最初のイケメンっぷりがなくなって、完全にヘタレキャラになってしまった。覚えてます?初対面の時、お近づきのキスとかしてたんですよ?でも5巻で一番ファンを増やしたのはハルカで間違いないでしょう。私も大好きになりました(ヘタレ的な意味で)。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→男性にも読みやすいと思います。話を気に入るかは別ですけど。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→これといって特徴的な所はないのですが、面白いですよ?キャリアのなせる業か、読みやすさは群を抜いていると思います。
作品DATA
■著者:相原実貴
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!('07年2月号~連載中)
■既刊5巻
■購入する→Amazon