
ホラ また そんな顔して
何だよ…
何のゴメンよ…
■表題作他2編の読切りを収録。では表題作をご紹介。
1年前に事故で彼氏の水樹を亡くした月沙。あまりに突然の出来事だったため、未だに実感が湧かず、漫然とした日々を過ごしていた。そんなある日、突然死んだはずの水樹からケータイに着信が。「明日から7回だけ月沙に電話するから。言いたいことがあったら言いな」そんな言葉を聞いた後、月沙は不意に気を失う。あれは夢での出来事で、気のせいだ。月沙はそう自分に言い聞かせたが、なんと次の日本当に水樹から電話がかかってきた…。
ケータイによって過去と現在が繋がれるという、ファンタジー作品になっています。なくなった彼氏が、夢の中に表れ、「明日から7回電話する」と残し、以降本当に電話がかかってくるという設定。ちなみに電話の向こうの彼氏は、時間軸で言う一年前の彼で、ヒロインはそれに話を合わせなくてはならないという制約があります。言いたかった言葉を飲み込み、次に進めずにいたヒロインが、本当に言いたかった言葉を吐き出すことによって、一歩踏み出していくというストーリー。この設定からすると、非常にオーソドックスな話と言えるのではないでしょうか。

「恋するバカもの」より。このエフェクトは嫌いじゃない。
同時収録の読切りもですが、イケメン美容師にたらし込まれる女子高生を描いた「SWEET PAIN」と、偶然キスしてしまったことで、身体と中身が入れ替わってしまう「恋するバカもの」の2作となっています。「SWEET PAIN」以外は、極めてベタな設定。というか、ベタ云々以前に、設定が稚拙すぎるような印象を受けました。言い過ぎですかね?でも例えば表題作ならば、夢に彼氏が出てくる必要は全くないし、もし出すのだとしたら電話で繋がるって設定が必要なくなります。「恋するバカもの」も、入れ替わりをいまひとつ活用しきれていない感じが。設定を思いついたのであれば、もう少し詰めて欲しいな、と。
【オトコ向け度:☆ 】
→女の子の妄想を具現化という感じ?でも男の子もこういうこと考えたりしますよね。
【私的お薦め度:☆ 】
→オススメはできないです。特殊な設定だからこそ、安易に使って欲しくないという思いが。
作品DATA
■著者:広瀬なつめ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット(平成20年8月号),デラックスマーガレット(平成20年1月号,11月号)
■全1巻
■価格:400円+税
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