
あたしはやっぱり
この町が好きだから
ようこそ
僕らの王国へ
■3巻発売しました。
小さいけれど、パワフルなやんちゃ娘・典。典の一番の親友で、クールな美少女・冴花。そしてモテモテの王子キャラ・京ちゃん。幼なじみの3人が住むのは、どこにでもあるような、小さくて平凡な町。今はみんな同じ高校に通っている。そんなある日、子供の頃に少しの間一緒に過ごした一つ下の男の子・榛名が再びこの町に引っ越してきた。すっかり大人びた榛名に、3人は驚く。そして彼の登場によって、典たちの関係に少しずつ変化が生まれて…!?
幼なじみ4人を軸に送る、青春オムニバスストーリーです。まず4人の関係性を整理しておきましょう。まずはヒロインの典。わんぱくという言葉がいかにも似あう彼女は、実は中学のときに京ちゃんに告白してフラれたという過去があります。今ではそのことが無かったかのように京ちゃんと一緒に居る典ですが、やはり心のどこかにはその時の想いが残っています。
一方告白された京ちゃんは、名家の息子で容姿端麗とまさに無敵街道を走るような王子さまキャラ。お金にも女の子にも不自由しない生活を送っていますが、一つ心に引っ掛かっているのが、典からの告白。実は振ったといっても、アクシデントによるもので、ちゃんとした答えは伝えないままうやむやになっているという状況です。そこに榛名くんが登場したものだから、焦る。次第にアホキャラが露呈してきます。
典の親友の冴花は、今では美少女になっていますが、昔は太っており、どちらかというと地味な子でした、そんな彼女が一念発起してダイエットに励んだ原動力は、習字教室の先生。今は離ればなれになってしまいましたが、いまだに文通(習字教室だからメールじゃないのよ)を続けており、過去の想いを育て続けています。彼氏いるけどね。
そして最後に榛名。3人の一つ下になる彼は、幼い頃よく典に面倒をみてもらっており、典に淡い想いを抱いていました。そして今回の再会によってそれがはっきりとした形に。また引っ越してきたのは、家庭の事情から。それゆえ中3とは思えないような雰囲気を漂わせています。

描き出すポイントが絶妙。例えば冴花は“指”をきっかけにダイエットに励みます。またお気に入りの場所がパン工場など、人物・舞台に確かな物語性を持たせる描写がポツポツと…。
そんな4人のこの町での日々を、毎回視点を変えながら描き出していきます。節々で笑いが組み込まれますが、基本はシリアスで重ための話。ただ後ろ暗い設定があるわけではないので、鬱鬱とすることはないです。切ない…とも違うのか。とにかく心情の描き出しが上手で、読者を作品の世界へがっつり引き込みます。こういう作品は大好き。
それぞれのキャラがしっかり描かれているのが良いですよね。悪者を作らないところもまたGOOD。4人全員が主人公なので、その受け皿は結構広いんじゃなかろうかと。マーガレットというよりもベツコミっぽい印象ですかね。っていうかWikipediaちゃんと編集してください(笑)
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→ハマる人はハマる。男女関係なしだと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→こういう作品が好きってのもありますが、それ抜きでも出来の良い作品だと思います。オススメ。
作品DATA
■著者:藤宮あゆ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成19年No.23~連載中)
■既刊1巻
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