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2009.06.07
07151246.jpg樋野まつり「ヴァンパイア騎士」(1)


デイ・クラスの普通の生徒は知らない
ナイト・クラスの全員が吸血鬼なのだと
そして
私は知らなかった…
他にもまだ秘密があるということを



■10巻発売しました。
 名門・黒主学園には、昼間に授業を受けるデイ・クラスと、夜間に授業を受けるナイト・クラスという二部のコースがある。ナイト・クラスの生徒達はそろいも揃ってみな美形で、かつエリート。そんな彼らにはある秘密が   実は彼らは、吸血鬼なのだった。そんな彼らの秘密を守るのが、デイ・クラスの学園守護係の優姫と零。共に吸血鬼と深い因縁を持つ人間で、時と共にその全貌が明らかに…

 吸血鬼学園マンガってなんじゃそりゃ。舞台は学校ですが、本筋は吸血鬼とそれを巡る、正統派ファンタジーだと思ってください。ヒロインは、普通科で学園守護係をしている優姫。5歳の時に吸血鬼に襲われそうになったところを、別の吸血鬼に助けられ、学園の理事長に引き取られ今に至ります。そんな彼女の相棒(?)が、同じく守護係をしている零。彼もまた吸血鬼に襲われた経験を持つ人間で、理事長に育てられました。共に吸血鬼について知っているため、守護係に抜擢。ナイト・クラスの秘密を守るため、日夜活動し続けます。


ヴァンパイア騎士
重苦しい雰囲気の多い中、思い切っておちゃらけてくれる理事長の存在は大きい。


 かなり設定が入り組んでおり、簡単に状況を理解できる作品ではありません。最初は、吸血鬼に囲まれててんやわんやする人間の女の子のラブコメみたいな話かと思っていたのですが、そういった甘さは一切ありませんでした。ヒロイン&零には、吸血鬼に関するある設定がされており、後半になってその全貌が明らかになってきます。タイトルに「ヴァンパイア」とあるように、がっつり吸血鬼についてのお話が展開。白泉社のファンタジーは、ファンシーなものとお耽美な匂いのする作品にわかれるのですが、この作品は完全に後者。確実な読み応えと共に、読者を限定するクセの強さが出ています。


【オトコ向け度:☆    】
→どうだろう、女の子のためのファンタジーって感じがします。
【私的お薦め度:☆☆   】
→アニメ化もしてるので、一定以上の出来にあるのでしょうが、個人的に血が苦手でして…。


作品DATA
■著者:樋野まつり
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(平成17年1月号~連載中)
■既刊10巻

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「LaLa」コメント (3)トラックバック(0)TOP▲
コメント

こんにちは。

少女マンガであることは分かり切っているのにあえて『女の子のためのファンタジー』って一体どういうのだろう?と思いつつ、読んでみました。

う~んと・・・『確実な読み応えと共に、読者を限定するクセの強さが出ています』とおっしゃる通り、とっつきにくいですね-。
なかなか物語が動き出さない、登場人物も分かりにくい(めったにでてこないキャラとか多くて名前もよく分からない・・・)。

しかし、11巻まで読んでの評価は◎です。
よくできた作品だと思いますし、しっかり楽しめました。絵も綺麗ですし。
星雲賞を受賞した『彼方から』とか『イティハーサ』などとも比肩しうる作品だと思います。

しかし、コレって『女の子向け』ですかね?
あまり男女関係ないような気がしなくもないですが・・・。
(綺麗どころの男性キャラがたくさんでてくる点など女の子受けしやすい要素はたしかにありますけど)
From: しろくま * 2010/06/01 20:32 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。

私、首筋から流れる血というのが大の苦手でして、少しでもそういった描写があるとすくみ上がってしまうんですよね( ( (;゚ー゚) ) )
そこの一点だけが克服することが出来ず、読み続けられませんでした。

アニメ化もしていて、海外での評価も高いということから、やはり作品の出来はかなり良いのだと思います。

男性向け・女性向けに関しては、客観は意識しつつも、最終的にはあくまで私の個人的な見解になります。そこに関しては、観点・感性の違いがあるのだと思われ、まぁ要するにあまり信用するなということです。
From: いづき * 2010/06/01 23:43 * URL * [Edit] *  top↑
こんにちは。

>私、首筋から流れる血というのが大の苦手でして・・・
そのようですね-。
同じシーン(吸血シーン)で、私はエロティックだと感じるのですけどね。

しかし、血が苦手でこの良作を読めないのはもったいないですね。
(もっとも優姫の『ヴァンパイアに関するある設定』を知ってるってことは、8巻までは読んだってことになりそうですが・・・・・・『あらすじ』か何かでご覧になったのかな?)

ま、思春期以降の女の子は男性よりは血に対しての耐性はあるでしょうから、そういう意味では女の子向けなのかも?



>男性向け・女性向けに関しては・・・まぁ要するにあまり信用するなということです。
感じ方・考え方が人それぞれなのは当然でして、あくまで一意見として捉えてます。

それなりに参考にさせていただいてますけどね(より『純粋』な少女マンガほどオトコ向け度が低くなりやすいのだろうと考えてます;『君に届け』とか、特別にオトコ向けではないと思うと評してらっしゃいますしね、このあたり、信用できるなと思ってます)。

ブランク長かったので、最近の少女マンガ事情に疎いもので・・・最近の情勢をつかむのに、こちらのサイトにはだいぶお世話になってます。
(ちなみに、『北斗の拳』の第一話とか、ASUKAの創刊号とかがリアルタイムな世代です)



ではでは、失礼します。
From: しろくま * 2010/06/02 20:07 * URL * [Edit] *  top↑

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