QuinRose/ほしの聡明「ハートの国のアリス」(1)
「ここは夢の中の世界…?」
「お前が夢だと思うならそれで構わないだろう
だがこれは
ゲームを進めない限り終わらない夢だ」■3巻発売しました。
自宅の庭で昼寝をしていたアリスの目の前に、突然ウサギ耳の青年が現れた。寝ぼけているのかな…?そんなことを考えているうちに、気がつけば全く知らない場所に連れてこられていた。着いた先は、不思議の国。メルヘンチックなのに、住人全員が何かしらの武器を所持している。これは現実?それとも夢?不思議な国での、アリスの不思議な生活が始まった…!!
原作は、童話「不思議の国のアリス」をモチーフとした
恋愛アドベンチャーゲームです。ヒロイン・アリスが、ウサギ耳の青年によって不思議の国に連れてこられ、「ゲーム」に強制参加させられるというお話。ゲームというのは、アリスがその国の住人たちと触れ合い、小瓶に不思議な液体が満たされたら終了、元の世界に帰れるというもの。この辺はいかにも恋愛シミュレーションらしさが出ていますね。しかしながら「不思議の国」の全体像は謎が多いまま。住民全員が武器を持っていたり、謎の”残像“という存在…。物語は、住民達との触れ合いを通して、その裏にある「不思議の国」の秘密を探っていく流れになります。

序盤はとにかく謎が多い。この謎解きをヒロインと共に楽しめるかどうかも、この作品を味わう上で重要になってくる。
実はこの世界は、アリス自身が望んだ世界だという設定があったりします。現実世界で、想っている人に愛してもらえなかった彼女は、自分自身にコンプレックスを持っており、心の奥底で「皆に愛されたい」と願うようになりました。そうして連れてこられたのが「不思議の国」。この世界では、皆がアリスを愛します。しかし「不思議の国」自体はアリスが生み出したのではなく、元からあった世界。その住人のウサギ耳の青年の願いと、アリスの願いが偶然一致し、それを夢魔がコネクトしたという経緯があります。そのため「不思議の国」は、彼女が望んだ世界でありながら、全く彼女の意のままにならない世界であり、ゆえに物語は不条理巻き込まれ型の様相を呈しています。
モチーフはルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」。ヒロインのアリス=リデルって、実在した人物なんですね、彼女をモデルに作品が描かれた、と。ちなみに姉のロリーナも実在した人物がモデルになっています。その辺を忠実に取り込んでくるあたりにこだわりが感じられて嬉しい。しかしモデルのアリスって、一般でイメージされてるアリスとは似ても似つかないですね(→
Wikipedia)。あとどうでも良いですが、中学生のとき文化祭の出し物でアリスを演じたことがあり、個人的に「不思議の国のアリス」は思い入れが深いです。あの時の衣装は今も実家に取ってありますよ。別に着るわけじゃないのに、なんで取ってあるんだろう…。
【オトコ向け度:☆☆ 】→恋愛シミュレーション原作ですが、あからさまな感じがないので読みやすいと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】→表紙だけで得した気分になりませんか?内容もなかなか面白いです。ただグッと引き込むほどではないので、この評価。
作品DATA■著者:QuinRose/ほしの聡明
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックスアヴァルス
■掲載誌:コミックブレイドアヴァルス(2007年12月号~連載中)
■既刊3巻
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