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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2009.06.12
hapimari.jpg円城寺マキ「はぴまり~Happy Marriage!?~」(1)


ただし!
ひとつ条件がある
そこにいるワシの孫北斗と
結婚してもらいたい



■父親の作った借金を返すため、昼はOL、夜はホステスの仕事をして稼いでいる小鳥遊千和。そのため、22になってもまともな恋愛が出来ず、今までほぼ彼氏ゼロ。そんな彼女に突然舞い込んだ、借金返済のお話。なんと彼女の祖母がかつて旧華族で、その使用人が今の会社の会長だったのだ!ご恩があるので、借金を肩代わりしたい…まさかの助けに胸躍らせる千和だったが、その条件を聞いて驚嘆する。なんと、会長の息子で現社長の北斗と結婚しろというのだ。籍入れるだけなら…これでたくさんの人が幸せになるなら…最初は拒否した千和だったが、結局この提案を呑み、結婚することに。…こんな結婚アリですか!?

 円城寺マキ先生の新作です。って「ヨルカフェ。」連載終了してたんですね、意外だ。さてこのお話、のっけからスゴい展開になってますが、良いですねぇ~、こういうノリ、私は嫌いじゃないです。お金のために結婚したヒロインが、やがて本当に結婚相手のことを好きになっていくというラブコメです。結婚相手はこのレーベルらしく、当然やり手のイケリーマンでドSイケメン。この結婚に関しては、彼自身もそれほど乗り気ではなく、かといって断固拒否するほどでもないというスタンス。社長といっても年齢は28、それなりに人生経験を積み、かといって老いてもいないという年頃。そんな彼に対峙するヒロインは、年齢の割に所帯染みており、また恋愛経験もほぼゼロで、いまだに処女だったりします。


はぴまり
ナイスリアクション連発のヒロイン・千和。


 しかしこのヒロイン、そんなステータスの差を持ちながらも、北斗と対等に渡り合います。要所要所では北斗が美味しいとこをさらっていくのですが、全体的なペースはむしろ千和が握っている感じ。北斗はそんな彼女に振り回されつつも、その状況を楽しみ、最後には彼女を掌握してしまうというパターン。この関係性が実にバランスよく描かれています。それに相まってか、コメディのテンポが非常に良いです。特に二人でラブホに入ったシーンでは、これでもかというほど連続でネタが投下され、最高でした。時として、「もはやラブコメじゃなくて爆笑エッセイマンガのノリじゃね?」と思わせるような動きを見せるヒロイン。ストーリー自体はありきたりですが、それでも楽しめてしまうのは、キャラがそれだけ魅力的で、作者もそちらにウェイトを置いて話を展開させているからなんでしょう。面白いです。

 ラブホと書きましたが、ヒロインが処女ということもあり、コトに及ぶことはありません。エロ描写も少なめで、あったとしてもそのほとんどが下で片付けられるようなネタ。こういう設定は、どれだけお預けできるかが大事なので、もう少し引っぱるのかもしれません。


【オトコ向け度:☆☆   】
→プチコミでは抜けて読みやすいんじゃないでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→円城寺先生はプチコミでも吉原由起北川みゆきらと並んで、読める作家さんだと思います。安っぽい昼ドラのような、なんてことないストーリーを、ここまで楽しいラブコメに仕上げてくる手腕はさすが。私は続き読みたいと思いました。


作品DATA
■著者:円城寺マキ
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックスα
■掲載誌:プチコミック(2009年2月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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コメント

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From:  * 2011/06/11 13:12 *  * [Edit] *  top↑
「安っぽい昼ドラ」
モヤモヤしていた読後感を一言で言い表してくれた素晴らしい例えだったので
コメントをさせていただきました。

怪しいお米セシウムさんテレビらしい展開ですね。
From: 東海太郎 * 2013/12/07 19:56 * URL * [Edit] *  top↑

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ヨルカフェ。 2 (2) (フラワーコミックス)
ヨルカフェ。 2 (2) (フラワーコミックス)
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