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Tag [続刊レビュー] 2009.06.14
作品紹介はこちら→末次由紀「ちはやふる」


chihayahuru2.jpg末次由紀「ちはやふる」(5)


この一枚が
いつかの
クイーンにつながってる



■全国大会は個人戦へ、第5巻発売です。
 初の全国大会出場、新が応援にかけつけたにもかかわらず、団体戦は体調不良によりまさかの棄権。そして大会は、クラス別の個人戦へ。A級の千早の相手は、皆実力者ばかり。そんな中、ひと際強い存在感を放つ選手が    若宮詩暢、16歳。小4でA級入り、史上最年少でクイーンの座についた、まさに天才。そのクイーンが、千早の目の前に。そして訪れた対戦の時、果たして千早はどう挑む!?

 相変わらず熱いです。応援に駆けつけた新は、個人戦を見ずに帰路につきますが、千早の熱い想いに触発されかるたを再び始めます。一方の千早は、体調もしっかり戻し、個人戦へ。そして史上最年少クイーン・若宮詩暢との対戦へ。
 
 5巻の表紙を飾っている新キャラ(前巻ですでに登場はしていますが)の若宮詩暢さん。5巻はとにかく彼女の為にあったというような内容。これから千早の最大のライバルとして立ちはだかるのでしょう。キーパーソンということで、少し彼女について見ていきましょう。まずはその容姿から…

ちはやふる1若宮詩暢、颯爽と登場。

 
 か、カワイイのにダサイ…。キャラクターTシャツを、2本線のジャージ(?)にイン。そして水筒持参ですよ。ちなみに中身はホットだそうで。すごいぜ、このセンス…。しかし見てください、この表情、自信に満ちあふれていますよ。この表情はクイーンにしか出せない、王者の表情です。「私を見なさい」とでも言わんばかりのこの風格は、何もそのかるたの実力だけから来るものではありません。
 
 よく見てください、トートバックに付いているキーホルダー、Tシャツのキャラと一緒です。キャラ名は「スノー丸」と言って、大阪にしかオフィシャルショップがない人気(?)者。バケツを取るとちょんまげが出てくるヤバカワキャラです(千早情報)。ちなみに詩暢さまは京都在住。そう、わざわざ大阪にまで出向いて買ったんです。そして満を持して、このTシャツを着てきた。言うなれば勝負服です。完璧なコーディネートなんですよ、彼女からすると。そりゃあこの表情も納得です。
 
 また水筒の紐の懸け方にも注目。彼女は紐を右肩にかけていますが、これもアスリートの証。彼女は左利きなんです。そう、商売道具である左肩に負担をかけないように、敢えて右肩に掛けているんです。野球選手にとっては当たり前の行動。それをかるたの世界で実践している彼女からは、クイーンとしての高い自覚が窺えます。え、左手でトート持ってるじゃんって?それはあれですよ、ドアとか開けたり物を掴んだりした時、突き指とかしないように配慮してるんですよ、きっと。って4ページ後に普通に左肩掛けしてるがな。

 さて、若宮嬢のかるたの実力ですが、ものすごいです。これがクイーンか、と。決勝で千早達を苦しめた北央・甘糟那由太を24枚差で飛ばすという荒技。そしていざ、千早との勝負。そのスタイルは、守りがるた。しかしそれでも、千早の攻めを圧倒します。そして飛び出す、ものすごいプレイ。


ちはやふる2スゴいテク。


 なんじゃこりゃ。かるたって本当に奥が深いんですね。札を一枚取るという単純な行為の中に、様々な工夫や変化が見られる。スピード・反射神経上等というイメージだったのですが、そこにテクニックを加えなければ、勝つことはできない。うーん、スゴい。この盛り上がりは本当にスポーツさながらですね。
 
 結局千早はこの試合に負けてしまいますが、目指すべき存在が明確に見えたことで、“夢”が“目標”に変わり、俄然熱が入ります。また部活の面々も、個々の目標に向かって走り出します。熱いなぁ、スポーツだなぁ、なんて再三思って、ブログでも散々書いてきたのですが、奏ちゃんからこんな一言が…


ちはやふる3かるたは文化。

 
 なるほど、あくまでかるたは文化です、と。すみません。まぁここまでくれば、文化だスポーツだなんて括りはあまり意味がないのかもしれませんね。でも将棋だって女流棋士は男になかなか通用しないからなぁ。文化もスポーツも、男女が対等に渡り歩くってのは思っている以上に困難なことなのかもしれませんね。


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