
「一体何者」…か…
それは私も
■4巻発売、完結しました。
時は戦国時代。斎藤道三の元に身を寄せていた光秀は、道三の娘・帰蝶の輿入れを機に、信長が居城を構える尾張に潜伏をする。その魂胆は、光秀に想いを寄せる帰蝶の身を案じたことと、“うつけ者”として有名な信長に関する情報を道三の元に届けるという所から。変装し、帰蝶の従者として殿中に潜入した光秀は、身分を隠しながら信長と対峙。その出会いは、やがてお互いの運命を大きく変えていく
明智光秀と織田信長にスポットを当てた、歴史ラブロマンスです。一応歴史上の人物がモデルになり、物語が描かれるのですが、あくまで二次創作的な捉え方で良いでしょう。この作品の特徴を一言で説明するならば「光秀が女である」ということ。嫡男に恵まれなかった明智家。明智家を、天下取りに際して最重要視していた斎藤道三は、唯一生き残った姫を、明智家の世継ぎとして育てることを決めます。女であることを自覚しながらも、道三に心酔する光秀は、女であることを忘れ、とにかく期待に応えるため「男」として生きていきます。その状況に変化を生んだのが、今回の帰蝶の輿入れ。うつけ者として有名な信長の元に、女装をして潜伏します。そしてその女装姿を、信長が気に入ってしまい、積極的にアプローチをかけてくるように。どうすべきか思い悩むも、状況は刻一刻と変化していきます。

女装サイドしか知らない信長と、男装サイドしか知らない帰蝶。そのため、こんな状況が起こる。
最終的には「本能寺の変」に繋げていくのですが、そこへ至るアプローチは歴史とは異なります。当然といえば当然か。あくまで歴史の“枠”を使った倒錯モノのラブロマンスなので、歴史的流れはそこまで重要視されません。それでも外れすぎないようにはしてありますが、そもそも光秀が女なのでね。一応ヒロインということになるのですが、男として生きることを心に誓っているため、BL的な雰囲気もアリ。とにかくキャラを最大限生かしたストーリーが展開されます。それでも設定を持て余している感じはないので、全体で見たときの仕上がりは結構良いんじゃないですかね。
歴史倒錯モノといえば、よしながふみ「大奥」を思い出しますが、あちらがより重厚感のある“大河”感の漂う作品なのに対して、こちらはどちらかというとファンタジックな雰囲気が漂う作品になっています。設定からストーリーを築き上げていくか、キャラクターからストーリーを紡ぎ出していくかの違いかな、と。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→腐向けではあるのですが、仕上がり自体は良いので、読めないことはないと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→絵柄が合わなかった…というのは言い訳に過ぎないか。設定・展開共に面白いとは思うのですが、オススメとなると気が引けてしまう感じ。
作品DATA
■著者:もとむらえり
■出版社:ソフトバンククリエイティブ
■レーベル:Flex Comix フレア
■掲載誌:FlexComixフレア(2007年10月号~2009年6月号)
■全4巻
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