磯谷友紀「本屋の森のあかり」(1)
ここは東京の本屋さん
はてしない本の森
でもオアシスもあることだし
もうすこしここで頑張っていこう
わたしのあかりはまだともったばかり■5巻発売しました。
26年間慣れ親しんだ故郷を離れ、東京にある本屋の本店に異動になった高野あかり。何もかもが支店とは桁違いの本店での仕事に、なかなかついていくことが出来ない。同僚の緑くんからは、何かにつけて棘のある言葉が投げかけられる。それでもめげずに、頑張り続ける。たくさんの本と、本好きの仲間たちに囲まれたこのお仕事は、なんだかんだで素敵で楽しい。なにより、本好きで優しい副店長がいるから…。恋と仕事、上京したてのあかりのTOKYO書店員ライフをあなたにお届け!
新米書店員(つっても支店で3年働いていたわけですが)あかりの、本屋での奮闘と恋愛を描いた作品です。一応本屋の裏側が覗けるようになっていますが、久世番子「暴れん坊本屋さん」のようにお仕事ネタ一本というわけではありません。あくまで書店員のお仕事奮闘記&恋愛模様がメインなので、より物語チックな造りになっています。本店ではなかなか戦力になれないあかりが、個性派揃いの書店員に支えられながら、お仕事の楽しみを再確認し、またそこから友情や愛情を芽生えさせていくという流れ。そのあかりのお相手候補は二人。人間よりも本が好きな心優しい副店長・寺山さんと、慶應卒の王子キャラで天の邪鬼な性格の緑くん。どちらもメガネ着用で、裏表紙ではメガネプッシュがスゴいです。ま、これはあくまで付け合わせ的に捉えておくべきだと思うんですが。

人間にはあまり興味が無い寺山さんだが、あかりとの触れ合いから変化を見せ始める。
各話ごとに、何かしらの本がモチーフとして取りあげられ、物語に絡められていきます。取りあげられるのは、誰しもが読んだことあるあるような有名な作品達。「本が好きになるきっかけ」になるようなタイトルが多いので、読書家でなくとも知っているんじゃないでしょうか。とはいえ、別に読んでいなくても困るような展開にはなっていないので、大丈夫。知っていれば、より物語を楽しめますよ、ってぐらいなので。
序盤から副店長プッシュなんですが、実際あかりはどっちを選ぶのでしょう。まぁ、「選ぶ」なんて立場ではないのですが、現時点でもバリバリ2ルートあるわけで。ここまで緑くん引っぱるってことは、もしかしたらもしかするかも…いや、さすがにないか。
あと磯谷さん、とっても字が綺麗ですね。素敵です。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】→この空気感が好きな人はきっと多いと思う。優しさに溢れた作品です。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】→本好きは総じて本屋が好き…当たり前か。これといったインパクトがある作品ではありませんが、なんでか手元に取っておきたくなる、そんな作品です。
作品DATA■著者:磯谷友紀
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:One more Kiss(2006年9月号~2007年5月号),Kiss(2007年No.20~不定期連載中)
■既刊5巻
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