
…誰にも内緒で
一瞬の視線を
心をこめて 受けとめる
■6巻発売しました。
とある高校が舞台の中心となる、恋愛オムニバスシリーズです。その発端となるお話が、1巻の最初に収録されている「イノセント・インセスト」。とりあえず、そのあらましをご紹介しましょう。
病気療養で2年ぶりに家族の元に戻った衿子。前と変わらない家に、両親。しかし2年前とは大きく変わったことがひとつ。中2から高1に成長した弟が、見違えるような男の子になっていたのだ。離れる前は、本当に頼りない子供だったのに、今は思わずドキドキしてしまうほど。この気持ちは一体…?別人のように成長した弟を前に、衿子がとった行動とは…
スタートは、姉と弟の危うい恋愛を描いたストーリー。その他にも、女子に恋してしまう女の子や、父×娘というカップリングを扱ったお話もあります。これだけピックアップすると、タブー恋愛がテーマの作品のように思われるかもしれませんが、そうではないと言っておきます。スタンスは、あくまで「高校生の恋愛模様を綴ったオムニバス」であって、タブー云々ありきではありません。ただしオーソドックスな少女漫画のように、恋愛のキレイな部分だけをすくいとって描くといったことはなく、かなり深い部分にまで突っ込んでくるようなお話を描き上げてきます(あくまで印象ですが)。恋愛マンガではあるものの、少女漫画ではない。そういった捉え方で読んでいただければ良いのかな、と。

寝ている姉に対する弟の欲情(?)、胸を触り、その後キス。こういうシーンもがっつり組み込んでくるあたりも、魅力のひとつ。でもドロドロ感はないですよ。
少女漫画とは違う。何かが足りなくて、同時に少女マンガには無いものを持っている。そんな印象を受けるのですが、その理由は判然とせず。結構生々しい要素(設定ではなく)を落とし込んできているので、そのせいなのかなぁなんて思ったのですが、それもこの作品の特徴のひとつにしか過ぎないような。でもやっぱりそこなのか?そういった要素がありながらも、根底にあるのは恋愛に対する「イノセンス」さ。そのギャップに、若干の違和感とイライラを重ねつつも、最後にはきっちり感動させられてしまう。イライラ感やもやっと感は、読後も少しだけ残るのですが、それが一種の快感のように自分の中に残り、いつまでも印象づけられているというか。うーん、なんでか読んでしまうんですよね。絵も話もインパクトがあるようなものでは無いんですが…。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→人によるとしか。重苦しい作品というわけではありませんが、明るいわけでもありませんので。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→どうしようか迷ったのですが、なんだかんだで読んでいますし。ポンポン単行本が出るような作品でもないので、オススメにしておきます。そういう方が買いやすいでしょ?
作品DATA
■著者:海野つなみ
■出版社:講談社
■レーベル:KC Kiss
■掲載誌:Kiss Plus(08年3月号~連載中)
■既刊6巻
■購入する→Amazon